2020-02-23

千田氏の「現代思想」の論文「『女』の境界線を引きなおす」を読んだ

 2月22日にご本人が出したnpteの記事で「論文」と記載されていたので、以下「論文」に統一した。

 誤読可能性はおおいにあるので、気になった人は実物を読んだほうがいいと思う。

 私が論文から読み取った主張は、以下のふたつだ。

 ①「ターフ」と呼ばれる人が、トランス女性を恐れるのは差別意識からではない。仮に差別意識からだとしても、そこを指摘するのは不毛

  

 ②「男性」「女性」「トランス」「シス」を含んだ「性別」という概念を変えるべき。

  そういうアップデートされた社会意識に基づくと、「女性」は存在しない。

  だから女性トイレ」も存在しない。だから女性トイレから排除」も存在しない。

  「ターフ」も存在しない。

  なぜなら、「女性」が存在しなければ「女性トイレ」は存在しないし、

  存在しないものからの「排除」は不可能である。(存在しない)

  「排除」が存在しないのだから、「ターフ」も存在しない。

  つまり「ターフ」がどうとかという話は、存在しない架空生物について話すようなもの根本的に意味がない。

  そして「女性」を「選ぶ」「選ばない」という話にもならない。何故なら「女性」(という概念)は存在しないから。

  極端なことを言えば、各々がゼロから好きなように自分アイデンティティを構築すればいい。

 (既存のものから選ぶ、もしくは選ばざるえないのではなく)

  

  かなり抽象的な話をしている。

  現実的問題議論するより、その前提となる社会の通念、規定概念を変えようという話だ。 

 

  この論自体は、面白いなと思った。

  問題はこれは「机上の空論」で、現実的問題や困難を抱えている人には何も助けにならないということだ。

 

  「現実問題はあるけれど、みんなでちょっとずつ意識を変えていきましょう。そのあいだ、トランス女性のかたは我慢してくださいね

  好意的に読んでもこれ以上のことは言っていない。

  

  私がこの論文で一番問題だと思ったのは、この箇所だ。

  「あくまで私が相談をうけた範囲ではあるが、お手洗いは、あまり問題となった記憶がない。尋ねてみたことがあるが、各々工夫を重ねているようだった」

  「もちろん、トランス一般にとって男女別に分離されたトイレ生活上の不便を引き起こしていることは、事実であろう。

   そしてそのなかにで、いまは完璧とはいえいかもしれないが、それほど問題になることもなく、当事者たちに負担をかけながらであるが、

   ペニスのない男性ペニスのある女性がなんとかトイレ使用している」

 「各々工夫を重ねなければならない」「当事者たちに負担をかけながら」

 言葉で明示的に女性トイレ使用拒否する人だけが排除をしているのではなく、「トランス一般」のかたが「各々工夫を重ねる」「当事者たちに負担をかけている」

 そういうコストトランスであるがゆえに払わなければならないことも、「排除」の一環であり、「問題」なのでは? と思う。

 この部分はけっこう衝撃だった。

 

 末尾の「暴力に陥ることなく、私たち多様性に基づいた社会設計するには何が必要なのだろうか」

 「それはターフを見つけ出して制裁を加えるのではなく、問題構造を見据えた私たち社会合意の達成によるものと信じている」

 

 この部分については同意

 「ターフ」以外に別のものを当てはめても通じそうだ。

  • 俺の読みにいちばん近い要約だ。なんか抽象的でふわっとしたことを言ってるんだよなー。 なのに釣りタイトルをぶら下げて、各所にデリカシーのない記述がちらほらしてるのでトラン...

  • 侵害され続けたきた私達が殴るのは当然!と言っておきながら、侵害してきたおまえらは殴られて当然と言われた途端にそんなことおかしい!って言うんだからフェミさん頭おかしい

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