何気なく地下アイドルの動画を見てたら、見覚えのある顔が出てきたんだ。
いや、待てよ、これはまさか…? 画面の中でキラキラした衣装を着て踊っているのは間違いなく亜鉛だった。
一瞬、時が止まった。目を疑ったけど、間違いない。あの笑顔、あの仕草、どう見ても亜鉛ちゃんだ。こんなことってあるのか?信じられない気持ちで、俺はさらに動画を漁り始めた。いくつもの映像が見つかって、その中で亜鉛ちゃんは本当に輝いていた。ファンに囲まれて、ステージの上でスポットライトを浴びて…俺の知ってる亜鉛ちゃんとはまるで別人みたいだった。
俺の家は、普通の家庭だった。亜鉛ちゃんは、いつも勉強ばかりしてて、静かで真面目な人だった。地下アイドルなんて想像もつかなかった。でも、映像の中で踊ってる亜鉛ちゃんを見たらそのギャップに驚くと同時に、なんだか尊敬の気持ちが湧いてきた。
それから悶々と数週間悩み、意を決すると勇気を出して亜鉛ちゃんに直接聞いてみることにした。晩ご飯を食べながら、さりげなく話題を振ってみたんだ。
「バレちゃったか…」
亜鉛ちゃんはちょっと恥ずかしそうに笑った。「高校の時、友達に誘われてね。楽しかったけど、大変だったよ。でも、あの経験があったから今の自分があると思う。」
俺は驚いた。でも、同時に理解できた。亜鉛ちゃんは、いつも自分の道をしっかり歩んできたんだ。地下アイドルとしての経験も、その一部だったんだと。
「すごいな、亜鉛ちゃん。全然知らなかったよ。でも、なんかカッコいいなって思った。」俺がそう言うと、亜鉛ちゃんは照れくさそうに笑った。