何を今更と言う人も多いかもしれません。
私は、昨今の都合の悪いことを何でもかんでもマスコミのせいにする風潮を馬鹿げていると思っていました。
歯がゆい点も多々あるにせよ、各社それぞれの正義感なりにメディアとしての役割を果たそうとしていると受け取っていました。
しかし今回の件は全く看過できません。
芸能界とマスメディアはいわば"身内"の業界です。一般的な企業倫理があれば、むしろ業界内から積極的に当該企業を排斥する動きが出るような話ではないでしょうか。
件の事務所の問題は、死んだ元社長のシモがちょっとユルかったなんてレベルの話ではありません。タレントは当然人格を持った人間ですが、この業界においては商品でもあります。そのタレント育成の過程でチャイルドグルーミングという極めて非人道的な手段が用いられました。これは氏個人による倫理違反ではなく、企業犯罪だと捉えるべきだと思います。
そのような企業に対して即刻取引停止の措置を取らないどころか、むしろすぐに"友好宣言"を発するのは、業界全体が今後も非人道的行為のうえに成り立つ商売を続けていきますと宣言するようなものです。
人権意識の低さ自体もさることながら、一般企業なら新入社員に教えるようなレベルのコンプライアンス意識を有するマスメディアが一社たりとも存在しなかったことが衝撃的でした。
その社会常識からかけ離れた認識で一体どうやって社会問題を扱うというのでしょう。
ダメなところはあるにせよ、うまく付き合えば役立てることもできるだろうと思っていたマスメディアという存在が、全く役に立たない存在だと気づかされてしまったことに絶望を感じました。