そういうのに騙されてはいけません。
たとえば、知らない単語の意味を調べたい時に国語辞典を頭から通読する人はいませんし、それを薦める人もいません。
本当に知識がある人なら、情報を探している人に「それは○○という本の△△に書いてある」と言います。
そういう具体的な助言ができない人が「本を読め」と言っているのです。
「本を読め」と言っている人は、「本を読むと読解力が身に付く」だの「本を読むと教養が身に付く」だのと言った「ご利益」を唱えます。
心理学的には、この「ご利益」のメカニズムは解明されています。
「本を読む」ことで身に付くのは、たとえば「"コレステロール"と"動脈硬化"という単語は同じ文章中に出てくる可能性が高い」と言った類の知識です。
これが積み重なると、
というのをある程度予測できるようになります。その予測が当たると、人間はあたかもそれを理解したように錯覚します。
つまり本をたくさん読んでも、「文章の内容を理解せずに飛ばし読みすることへの抵抗が無くなった」だけで、読解力も教養も身に付いていないのです。
数学の問題を見て「これは二次関数の問題だ」みたいなことが分かるだけで、一問も解けないようなものです。
メディアリテラシーを身に付けましょう。
「本を読め」とか「読書は教養だ」などと言っている人にまともな経歴の人はほとんどいません。
彼らは一般向け啓蒙書はたくさん書いていますが、専門家向けの本を書いている人は稀です。
彼らには、自身が一般向け啓蒙書で書いている分野のごく初歩的な内容すら説明する能力がありません。
中学英語をやっと覚えた人が「外国語を学ぶことは異国の文化を理解することだ」みたいなポエムを口ずさんでいるようなものです。
本をたくさん読んでも、表面的な情報処理能力が上がるだけで、内容を理解したり応用することに繋がっていない