資本主義の亡者が我先に他人を蹴落とす。安全な医療体制で俺を守って欲しいんだ
この小さな番号札さえあればそれが接種可能な券として俺の未来は保証されるらしい
会場は既に一杯。人だかりで埋まっている。
冷静な振りをしながら疑心暗鬼の目であいつもどいつもメディアの支配する不安の感染者だ。
まあ少し延期したってしょうがない
痛いのは嫌だし、恐怖が勝ってるし
中途半端な願望でも持たずにいるよりは良い
上位に食い込みたい
あいつより、誰より
自宅に引きこもってろ!
なあ?なんでこんなに必死なんだろう?
誰にも大事にされない俺は
こんな時くらい主張したって良いだろ
どうせ守ってくれる人もいないまま最前線に立たされるんだから。他人の人生なんか心底どうでも良い
虚ろな目をしてる
一週間、一ヶ月
ひたすら我慢した
この国では絶望する速報ばかりなんだ
安全圏をひたすら探して
延々と続く苦しみをやり過ごして
俺自身は何処に行ったんだろう
何も手につかないまま
なあ、なんで俺だけ置いて行ったんだ
しがみついてんのは他人の腕
こんな筈じゃなかったんだ あの時点では
今は震えて明日を待つだけの身じゃなくなったが
今後の生活はどうなる?誰も教えてはくれない
頼むよ神様
ここで幕を下ろすのは嫌なんだ
望みを捨てさせないでくれ
俺はまだ人間のままでいたい
どうか違う世界へ行きたいんだ
その為の通過点なんだろ?
生きて明日が見たいと思った
それが当然の権利なんだと
無様でも歯痒くても
終わらないこの地獄のような日々に
神よ、終止符を
もう天罰は要らない