2020-10-13

1997年ジャンプ暗黒期」という間違い

0.まえがき

1990年頃に黄金期を迎えた週刊少年ジャンプは、黄金期を支えた『ドラゴンボール』『SLAM DUNK』『ダイの大冒険』『幽遊白書』といった作品が終わるといったん低迷期を迎え、1997年には週刊少年マガジンに部数で抜かれるなどの暗黒期を迎えた」のようなオーラル・ヒストリーが語られることが多い。

が、現在になって見返してみると、これは若干の間違いを含んでいるといえるので書く。

1.部数面

ジャンプの部数1995年に653万部に達し、1995年ドラゴンボール』の連載が終わると1998年まで右肩下がりに落ちている。

1999年および2000年には微増しているため、部数面での暗黒期はむしろ1998年というべき(それでも現在よりは多い)だが、やはり「マガジンに追い抜かれた」という事実インパクトが大きいというべきか。

2.連載作品

まず、連載作品は4つに分けられる。『a.1997年を通して連載されていたもの』『b.以前からの連載が1997年に終わったもの』『1997年に連載が始まり1998年以降まで続いたもの』『1997年に連載が始まったが短期間に終わったもの』だ。カテゴリー別に見ると以下のようになる。

なお、b,cおよびdは区分曖昧になることがあるが、dに入れる基準は『連載期間1年未満』を目安とする

【a.1997年を通して連載されていたもの

こちら葛飾区亀有公園前派出所』『ジョジョの奇妙な冒険』『BφY-HARELUYA II-』『地獄先生ぬ~べ~』『遊戯王』『封神演義』『るろうに剣心』『真島クンすっとばす!!』『WILD HALF』『みどりのマキバオー

【b.以前からの連載が1997年に終わったもの

セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』『ろくでなしBLUES』『幕張』『とっても!ラッキーマン』『 キャプテン翼 ワールドユース編』『レベルE

【c.1997年に連載が始まり1998年以降まで続いたもの

BASTARD!!~暗黒の破壊神~(背徳の掟編)』『I"s』『ONE PIECE』『世紀末リーダー伝 たけし!』『花さか天使テンテンくん

【d.1997年に連載が始まったが短期間に終わったもの

『BE TAKUTO!!~野蛮なれ~(※厳密には、1996年50号で連載開始)』『魔女娘ViVian(※厳密には1996年49号で連載開始、97年43号で終了)』『Wrestling with もも子』『COWA!』『私のカエル様』『仏ゾーン』『きりん~The Last Unicorn~』『COOLレンタルボディガード>』『Merry Wind』

3.全体を見て

「過渡期であった」というならばその通りだ。『ろくでなしBLUES』『ラッキーマン』『キャプテン翼(※WY編の連載開始は94年だが、小中学生編まで含めれば黄金期の作品と言っていいだろう)』といった黄金期組が終わり、"黄金期に小学生で当時中高生だった”勢には読むマンガが少なかったのも確かだ。

一方で、現在看板マンガOne Piece』や、当時の少年を性に目覚めさせた『I's』が始まるなど、作品の質がそれほど悪かったということは実は無い。もちろん、新連載に固定ファンが付くのは時間がかかる(『I's』はそもそも作者の固定ファンがいるだろうけど)から落ち込んだイメージがつくのは仕方ないとはいえるが、そのイメージが実際と合っているとは限らないのだ。

ちなみにこの後、1998年には『ROOKIES』『ホイッスル!』『シャーマンキング』『HUNTER×HUNTER』が、1999年には『ライジングインパクト』『NARUTO』『テニヌ王子様』『ヒカルの碁』といった作品が始まりジャンプは再び盛り返していくことになる。

  • 『テニヌの王子様』 さり気なくタイトル改変するなよ

  • 「ジャンプ暗黒期」って黄金期の三本柱の終了から00年代の三本柱の開始までを指すだろ。 つまり、 幽遊白書(1994年完結) ドラゴンボール(1995年完結) SLAM DUNK(1996年完結) から ONE PI...

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