2020-09-15

旅とは、とても面倒くさいものだ。

もちろん、ふと思い出す旅の風景はとても美しい。急に景色が開けたところに出たとき、長らく憧れていた美術品を目の当たりにしたとき温泉でくつろいだとき一人旅自由さ、友人との旅行での楽しさ、家族旅行での安らぎ。そうした思い出のハイライトばかりをつなげば、自分旅行中ずっと幸福感にあふれていたのだと錯覚する。

けれども、現実はそういうわけにもいかない。長距離バスの中で過ごすけだるい時間がある。有名な観光地を訪れはしたが、すぐに回れてしまって期待外れということもある。道があっているかどうかわからないままで長距離を歩く心細さがあり、電車を間違えて数時間待たされる腹立たしい時間もある。そういうときに、スマホでろくでもないニュース職場からメールを読んでしまい、旅の情緒台無しになる瞬間さえある。

自分は、そうした旅先での残念な時間を細部まで再現した夢を、何日か連続で見ている。おそらくはコロナ禍で旅行に行けない鬱憤が溜まっているのだろう。国内国外かも定かではない景色の中を、期待と不安を持ったまま、目的もわからずに何かを探しているような夢から唐突に目覚め、旅路現実でなかったことに対して、幾分落胆する。

かに、夢の中であっても旅に出られたことに、どこか救われている自分もいるのだけれども、ごちそうを急に取り上げられたような寂しさはある。こうした旅に出たいという衝動を鎮めるためには、やはりどこか知らないところに行かないといけないのだろうか。それは、降りたことのない駅の周りと探検すれば、気が済む種類の欲望かもしれない。

それとも、一日も早く海外旅行に行けるように祈るしかないのだろうか。また一人で海外に行きたいけれども、あの感動は独りぼっちの寂しさとセットな気がしていて、あまりこの寂しさをリアルに思い出してしまったなら、また異国を訪れることに二の足を踏んでしまう。

から、あまり夢で現地での寂しさを細かくは思い出したくはないのだ。

  • 記憶を美化することも、不安と喜びが表裏一体であることも、どちらも旅の良さじゃないかな。 お互い早く旅に出られるといいね。

    • そうだねー、もうちょっとの辛抱だといいねー。ありがとう。

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