資格学校で講師をしたことがある。人が足りないからヘルプで急遽採用された。
この記事で言う「1日目」を教えていた。大体2ヶ月のコースで1ヶ月過ぎたところ。
その学校は人が足りないのもあるが,資金繰りに相当困っていたようだ。
以前は生徒のスクリーニングを行っていたが,それをやらずパソコンの操作もわからない人をどんどん資格を取れるコースに入学させていた。
私が入ったときはLinux上級者向けコース(大体サーバ立てて初期設定やったりiptablesやるまで)が始まっていたが,
ls, cdなどをしたら何が起こるか生徒はわかっていなかった。
テキストと画面を照らし合わせてコマンドがどうなっているかを1つずつ噛み砕いていき,1ステップずつ何が起こっているかを教えたら,
少しずつわかってきたようで,自分である程度操作もできるようになった。
しかしそれでは学校のカリキュラムに沿わないので,上級者向けのことも一応テキストをなぞって写経させた。
「ここはさすがに暗記しないといけない」というところも伝えた。
生徒も危機感を持っていたようで,週に1回程度終わったら近くのカフェで色々話したりした。
その中で,やたら喋るが人生があまりうまくいかず,それを全部周りのせいにしていた生徒がいた。
時は進み,上級者向けコースも終わりを迎え,そこから次のコースに移るとのこと。
正直このレベルで送り出すことはできないと思ったが,最終試験があるので模試を行った。
結果は厳しいものだった。
次の日,事務の人に呼び出された。
いわくクレームが来て,自分はよくわからなかった,先生の教え方が悪いのかテキストが悪いのかわからないとのこと。
クレームをしたのはカフェで人生がうまく行かないのを周りのせいにしていた生徒だった。そういうことかと思った。
私に講師の仕事を紹介してくれた講師の方が監視役に付くことになり,講義を行った。
その日は普通に終わった。講師の仕事を紹介してくれた方は「あいつらがここまでできるようになったなんて」と言っていた。
しかし,私はどうしてもやる気にならなくなった。監視されながら火消しを行うのは耐えられない。さらにクレームをした人がその場にいる。
次の日が最終日だったが,学校の前に着いた段階で私は逃げた。
1人の生徒からメッセージが来た。「申し訳ありません,逃げてしまいました」と返信したところ,「いいんじゃない」と返ってきた。