2020-05-09

平田オリザ発言演劇界の闇を垣間見る

平田オリザ氏の発言が絶賛炎上中だ

演劇界の窮状はわかるが下手な比喩で別の業界に例えようとして滑ってるだけと言えばそうなのだが、下手な比喩比喩なりに発言者の考えを読み解く鍵になりえるもの

  

さらに、照明、音響スタッフなどフリーランスの方たちの収入が極端に減っており、ここが一番、たいへんになっています

世界中に、漫画を読むと感染するウイルスが発生したと思ってください。漫画家さんは過去印税でしばらくはしのげるかもしれませんが、アシスタントさんは全員、解雇ですよね。」

  

とのことであるが、荒唐無稽な前提から漫画業界への例えは確かにアクロバット何言ってんだこいつというのが第一印象

ではこの発言から読み取れることは何であろうか

  

まず、漫画家は貯えがあるがアシスタントにはないことを当然のこととして語っているということだ

漫画家もアシスタント漫画が描けない状況になればどちらも収入は著しく減少することだろう

その状況でも漫画家には貯えがあるからしばらくしのげるが、アシスタントはそうではない、と対比されているのだから

アシスタントには貯えがないからしのげない、と平田氏は言っているのだと解釈すべきだろう

  

実際の漫画業界がどういう収益配分になっているかは俺にもわからない

漫画家のアシスタントとは下積みでギリギリ生活できるだけの食い扶持をもらって貯蓄する余裕がないものなのかもしれないし、そうでないかもしれない

極端なことを言えば実際のところはどうでもいい、問題になるのは平田氏にとってこの例えが演劇界比喩足りえるものだという点だ

  

この漫画業界への例えを演劇業界に再投影してみよう

漫画家に相当するのは監督演出家、主演俳優といったところだろうか

アシスタントはまさしく音響や照明だろう

すると演劇業界においては「監督演出家、主演俳優過去の貯えでしのげるが、音響や照明は貯えがないのでしのげない」ということだろうか

  

しか演劇関係は下積み時代稽古の合間に複数バイトの掛け持ちで苦労するなんて話はよく耳にするしお金にはならないものなのだろう

音響や照明の裏方にしても十分な給料が支払われているかと言えばそうではないのだろう

一方で売れっ子にさえなれば一攫千金というのが芸能というものなのだろう

  

実際の演劇業界収益配分も俺にはわからない、しかしこれに近い状況がなければあの比喩は出てこないのではないか

もしそうだとすればそれは演劇業界構造上の問題

一部の上位者収益の大部分をかすめ取り、大半の下位の者は食うや食わずでやり繰りするというのは様々な業界にありうるものだろう

しかしその構造上の問題放置しておきながら上位者たるものが「うちの業界の下っ端が困っているから援助してくれ」はいささか都合がよすぎるのじゃないかという気もするのである

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