私は姉が苦手だ。嫌いとは少し違う(はず)。
姉は昔は自慢の姉だった。積極的で委員長なんかを引き受けるタイプの子どもだった。私はどちらかと言えば引っ込み思案な方だったし、3つ上の姉はなんでも私よりよくできるように思えた。二重飛びのやり方も姉に習ったし、ドリルの丸つけもしてもらった。しかし親の転勤を受けて転校してから、姉はクラスでいじめられるようになってしまったらしい。それから彼女は変わってしまって、自分に自信がなく臆病な性格になってしまった。
私は幸にして転校先にもよく馴染み、高校は姉より良い学校に進学することができた。この辺りから姉は私に露骨に嫉妬の感情をぶつけてくるようになった。姉は一浪し、希望の大学には入れなかった。それでも私よりランクの高い大学を出て大学院まで進んだくせに、私のことを嫌に羨ましがる。かわいいからいいよね、世渡りがうまいからいいよね、賢いからいいよね、彼氏がいるからいいよね、資格を持ってるからいいよね… 私はダメだから…
こんなことを会うと必ず言われるようになってしまった。ダメじゃないよ、と言ってもまた別の地雷を踏んでしまうこともあるし、対処法がなんとか話を逸らして逃げるしかない。とにかく辛い。私は自分が恵まれていて酷く狡い人間のように感じてしまう。たしかにそうなのかもしれないのだけど、本当にそうなのだろうか?私が努力して積み上げてきたものに対して、ずるいずるい、いいよねいいよね、と言われるのはかなりキツイ。不当に得たものではないのに。たしかに運や巡り合わせによって得られたものもあると思うけれど、別にそれだって卑怯な手段によるものではない。わたしは正当な手段を経て、努力を重ねて欲しいものを手に入れてきた。姉と私で確かに生まれ持ったものに多少の差異はあったかもしれないが、私にないもので姉にあるものだって沢山あるし、姉が虐められたのも私の責任ではないし私だって虐められたことは数回ある。何がいいんだよ。私が私の地獄を乗り越えて闘ってなんとかやっと手に入れて、失わないように、失わないようにと抱えているものを、指差して欲しがらないで欲しい。私だっていつ失うか、常に怯えているのに。