自分はアラサー、身長163 cm、体重49 kg、血圧は下50-上90程度の健康な人間だ。風邪はほとんど引かない。最近は半年に一回くらい脳貧血でブっ倒れるが、献血に行かない理由はそれではない。
20歳くらいの頃、学校に献血カーみたいなやつが来たことがきっかけで、ちょくちょく献血をするようになった。自分は実にくだらない人間だが、健康であったので、困っている人の役に立てるならと思った。あとジュースが飲みたかった。
でもある時から行くのをやめて、それ以降行っていない。ある出来事がこの事態を引き起こした。その顛末を以下に示す。
自分は友達がとても少なくて、そして一人で行動するのが好きだ。
ある日、血を取る看護師に、「一人で来たの?わざわざ?」「普通、友達と来たりするもんだけどねー」と半笑いで言われた。わざわざ一人でも来てくれてありがとう、というニュアンスではなかった。馬鹿にしたような感じ。
なぜそんなことを言われないといけないのだろうと思いながら、あまりにびっくりしてしまったので黙っていた。意味がわからなかった。何か悪いことをしたわけじゃないのにどうして。だんだん目に涙がたまっていくのがわかった。どうしてそんなことあんたが言うんだ。泣かないように目をつぶって別のことを考えて、帰りの駅のトイレで泣いた。そして、二度と献血なんて行くもんか、あんな思いはしたくない、もう知らねと誓った。
もう10年ほど前のことなのであるが、この出来事は自分の中に澱のようにとどまっていて、献血の看板を目にするたびに暗い気持ちになる。
あの看護師みたいなのはたぶん特殊で、そんな人ばかりではないのはわかっている。でももうきっとトラウマになってしまっているので、献血には二度と行けないだろうと思う。自分の体には、誰かを救うことができる健康な血液が満たされているのに。