ある男の子が、店の中を走り回ったりクリスマス用品の棚の商品を取り出して遊んだり、大暴れとまではいかないがとにかく落ち着きがない様子だった。
私は持ち場を離れることが出来なかったので、すぐに遠くへ行ってしまうその子になかなか注意できずにいた。
男の子はとにかく落ち着きがなくブツブツ独り言を言ったり奇声を出して騒いでいたので発達障害なのかな?とも思った。
よく見ると両耳に補聴器のようなものをかけ、そこから後頭部にも何か取り付けられていた。後から調べたら人工内耳のようだった。
しばらくすると50代くらいのおばさんが会計に来た。男の子は相変わらずバタバタしていたが、私が商品をスキャンしている間にそのおばさんが男の子の肩を叩いて手話と口で「帰るよ」と言った。
ああ、このおばさんが母親で、この男の子はきっと耳が聴こえにくいのだと気づいた。
ふと、その子がこちらをみて満面の笑みで私にニコッと笑ってきた。子供の笑顔、ではあるのだが、障害児っぽい歪んだ笑顔だった。
障害児っぽいというのは昔学校の授業や給食のときに特別クラスの障害児の子と接した経験によるのだけれど、
なんか普通の子と違う、表情筋のコントロールがぶっ壊れたような、上手くいっていないような、とにかくそんな表情。
でも先程までの奇行に苛ついていたし、崩すことなくずっとこちらに歪な笑顔を向けるその子がどこか不気味で無視して会計を続けた。
無視というか気づかないフリをしていたんだけど、しばらくしたらお母さんの後ろに隠れて以降私を見ることはなかった。
その子がこちらに笑いかけた意味も結局わからない。たとえ本当に純粋な笑顔だったとしても、それをまっすぐ受け止められる自信はないだろう。
お母さんももしかしたら私が無視したことに気づいたかもしれない。
Normalな子供達がスーパーやファミレスの中で走り回って騒いでいる光景を目にする事が有る。 周囲の者からすればタダの迷惑でしかない。 しかし子育てに疲れている親たちは買い物やお...