12月に中途入社した元ブラック企業を、たったの1週間で退社した。
事務にしては良い待遇だと思った──が、入社してから「月給20万」のカラクリを教えられた。
なんと、基本給が12万。
それに固定残業代35時間分と、なぜか事務員なのに期間工によくある「皆勤手当(3万円)」が上乗せされて20万だったのだ。
つまり1日でも風邪などで欠勤すれば、皆勤手当て分の3万円が引かれてしまう。
バカバカしくてやっていられないと思った。
50代半ばの男性上司は、自称体育会系で、声がデカく、飲みにケーションが大好きで、すぐに煙草休憩に立つ。私のことを「お前」と呼ぶ。それだけでも好きになれない。加えてこの会社では、1カ月に2回始業1時間前に朝礼、毎週月曜日には始業15分前に朝礼があり、そこで社訓を叫ぶことになっている。もう我慢の限界だった。
「自慢じゃないが、ウチは3年前までは超ブラック企業だった。今は超ホワイトだと自信を持って言える」
「営業部では殴ったり怒鳴ったりすることが今でも時々ある」
なぜこの人は、そんな恥ずかしいことを堂々と言えるのか、さっぱり理解できなかった。
上司は、ブラック時代から十数年もこの会社で働いてきたから、労働条件が改善された今でもブラックの考え方が身についてしまっているのだ。
他社員に聞いたところは、昔は残業時間もメチャクチャで、法に触れるレベルだったそう。
コンプライアンス窓口代わりの目安箱が設置されているが、空気が悪くなるのを恐れて機能していないとのことだった。
ここに居ては駄目だと思った。
そう思っている人が多いのか、毎月何人も退職者が出て、毎週のように新入社員が入って来る。
ブラック企業はブラックから脱出しても、ブラック「体質」からは抜け出せないのだ。
こんなところに居ていい私じゃない。