2017-06-29

仕方ない

子どもの頃、祖母も一緒に住んでいた。

ある日を境に同居の形になったパターン

最初はまあ、普通だった。

特に祖母がいて好都合も不都合もなかった。

だが、ある時点から祖母が怪しくなった。

やや痴呆が入るようになったんだよな。

で、そんなある日

自分小学校から帰って来たら

廊下トイレの床やら壁やらがウンコまみれになってた。

どんな事態が起こったのか未だにわからないが、

とにかくボケが始まった祖母やらかしたことは確かだった。

その時家には祖母以外に誰もおらず、

かと言ってそれを放っておくこともできず、

まりのひどさに泣きながら掃除した。

その日以降、自分祖母が大嫌いになった。

気持ち悪かった。憎かった。存在が許せなくなった。心の底から嫌悪していた。

家にいても自分からしかけることはなくなったし、

何か頼まれても露骨に嫌々な態度を示し、

祖母に触れたあとは必ず手を洗った。

そんなある日。

習い事英会話家族の話をすることがあった。

ちょうどその日は休みの生徒が相次いで、先生マンツーマンだった。

自分はたどたどしい英語家族説明をした。

家族の中にはグランドマザーも一応含めた。

すると先生祖母のことを聞いてきた。

自分は正直に祖母を疎ましく思っていることを話した。

家中ウンコまみれにされたことも言った。

勿論日本語で。

すると先生はこう言ったんだ。

「でもねえ、仕方ないのよねえ」

たったその一言だったんだけど、

自分の中にストンとその言葉が入ったんだよ。

憑き物が落ちたみたいってこのことを言うんだろうな。

そっか、仕方ないのか

って素直にそう思えた。

仕方ないならしゃあないな、と。

それ以降、祖母のことを普通に大切にできるようになった。

思えば祖母も好きで家をウンコまみれにしてるわけじゃないだろう。

きっとよんどころのない事情で、ウンコまみれにせざるを得なかったんだ。

それが分かったら、嘘みたいに嫌悪感もなくなった。


車椅子飛行機問題見てたらふと祖母のことを思い出したから書いてみた。

今回の一件の車椅子ユーザーの方の過激さは置いておいて、

一般車椅子ユーザーの人たちは

何も好きで車椅子に乗ってるわけじゃない。

みんな「仕方なく」多少不便でも車椅子に乗ってるんだよな。

「仕方ない」ことなんだよ。

そうやってみんなで許容できる社会のほうがいいと思うんだがなあ。

  • 別に件の車椅子ユーザーを咎めてる人達は「歩けないこと」を咎めてるんじゃないだろ 「あいつ実は頭も既に逝っているんだよ」と示唆したいならまた少し別だが

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