2006年、就職が決まった俺は、帰国することにすこし不安を覚えていた。
身内と見られれば良くしてもらえるが、異物と見られればつつかれる。
本人たちは意識していないだろうが、日ごろから差別的な対応をされたり
差別的な対応をしないように注意を払いながら「ガイジン生活」をしていた俺には、
仲間に入るためには、言い換えれば、信頼を得るためには、いろいろな規制を受ける。
郷に入っては郷に従え。なるほど、結構なことだ。
うまくアダプトするまでに時間がかかったことや、”ご迷惑をお掛け”したことは
個性的な「よその人」たちを傷つけるような敬意の無い対応をせざるを得ない
郷の掟に関しては、再考を進言したい。
言動だけではなく思考にも規制をかけるような自由しか保障されてない。
丁寧だ勤勉だと郷のすばらしさを誇るのは、逆に言えば
それがない人を排除することにつながっている。
ある国では、自由を求めることが政治的な闘争となり、悲劇的な結末となった。
それから約20年後、自由を求めた彼らは「08憲章」を発表した。
帰国して疲弊していた俺は感銘を受け、「郷」の中で生き残るための勇気をもらった。
ただし、身を削るような戦いであってはならない。
誌士幽人莫怨嗟、古来材大難為用。