普段本を読まないが、人に「これすごいわ」と薦められた。いつも読み終わった本を私に紹介してくれる人なのだが、ここがこうすごい、と毎回ネタバレを引き連れて薦めてくるのがこの一冊に対してはたった6文字だけだった。ただそれだけの理由だ。
本自体については、人によって受け取る感情が全く違うんだろうな、としか私には言えない。私の中にはすらすらと読めた爽快感と反吐が出そうな世間のえぐみが残った。
少し私自身の話になる。周りの人が何を楽しんで何を嫌うのかが小学生の時からずっと分からなかった。楽しいことを合わせようと思ったら「○○、楽しくないならやめていいんだよ」と声をかけられたし、嫌いなことを合わせて嫌いな事をした人に対して冷たく接していたらいじめっ子と評されるようになった。
今も人とのコミュニケーションは苦手だし私自身を知った人はいずれ離れていくと思っている。でもそれが嫌いな訳ではない、離れていってほしくないから印象を良くするためどんどんコミュニケーションが化けの皮をまとっていく。どう対処するべきなのかは分かっていない。
そんな人間だ。
話は戻る。
そんな自分、「世間一般には受け入れられないだろう自分」とこの本の主人公が重なって、暗い感情でびっしり心を埋め尽くされた。改めて自分が欠点だと思っているその痛い所をつつかれた気になった。
そのまま持ち主の手元に返すことになり、私は感想の一行や二行を本のお礼として(なるかは別として)…と思っていたのだが、本を手渡した時、
「どう?身につまされたでしょ?」
と言われたのだ。
身につまされたって、他人に対してわくわくと返事を待ちながら使う言葉なのか?
この内容に対し私が身につまされると思っていたということは、私は彼女にとって「普通からズレている人」という括りだったのだろうか?
些細な言葉だけど、少なくとも繊細でネガティブに傾いていた私にとどめを刺すのには十分な一撃だった。
彼女は血縁者のひとりで、昔から私がどう振舞ったら害がないのかだったりを相談してきた人だったので、まさか彼女がこの本でいう主人公の妹、だとは思っていなかった。
なんだ、私は『こっち側』に勝手に引き戻されようとしていたのか、と思った。恐ろしいほど本を薦めてきた彼女に対する興味を失った。
色々な視点の私が笑う。この人も私を向こう側に線引いてたんだね。私はやっぱりおかしいんだ。さすがに考えすぎでしょ馬鹿みたい。あの人も同調こそが普通だと思ってるタイプだった、残念。でもどれが正解かは分からないし、どれが間違いなのかも分からないし、どれが普通の考えかなんて見当もつかない。つけたくない。
誰か、私のどこがおかしいのか教えてほしい。
作り話ぽい話ばかりの中で、結構ずしりと来るものがあったので本当なんだろう。 ちっともおかしくはない。 人それぞれ、が真実だと誰もがわかってるのに、それを許容しない異常な世...