ふと大学時代のことが思い出されたので書き連ねてみる。
私はとある地方都市の大学に通っていた。現役合格だった。大学の場所は、18年間生まれ育った町からかなり離れたところにある町。東京から電車などを利用して数時間かかるところにその大学はあった。ただ、地方都市とはいっても、大学がメインの町なので、学園都市に近い。
それなりに偏差値の高い大学だったし、学びたいことがあったので、知らない土地に対する不安は何もなかった。でもいざ大学に入ってみると、大学生特有のウェイウェイした感じ、高校生のときから止まったスクールカースト、町特有の閉鎖感などが、自分に合致しなくて、大学を始めてから半年くらいで授業以外のものにはかかわらなくなっていった。
授業以外で何をしていたかというと、本を読むだけの毎日。授業以外はいろいろな本を読んでいたと思う。授業の教科書。授業に関係する本。授業にもまったく関係のない本。なんとなく友達を作りたいなあとか、恋人欲しいなあとか思いつつも、やっぱりめんどくさいというループを回して、本を読み続けていた。
本を読む場所はその時々によって変わる。自分の学部の休憩スペース。別の学部の休憩スペース。食堂。喫煙所。図書館など。そういったところをローテーションで組みながら、片っ端から本を読んでいた。
ある日のこと、数時間本を読んで、もう夕方だし、帰ろうかなって思った。日が暮れそうだった。ふと、ありえないくらい将来に対して不安になった。不安自体は漠然としていたのだけれど、夕日を眺めているとひどく不安になった。
大学以外何もない町。閉鎖的な空間。本を読んでばかりでカラに閉じこもった自分。誰かはいるはずなのに誰もいない気がする感覚。何もかもが嫌でしょうがない。逃げ出したいけど逃げる方法もわからない。というか、逃げるという選択肢すら思いつかなかった。その頃は自分にもとりあえず友達と呼べる人はいたけど、別にそいつらにとって友達は僕一人じゃないから、気軽に連絡を取れるわけでもないから、よけいに閉鎖的だった。
ビルの中から何もない町に夕日が差さっているのをみると、なんかとてつもない不安に駆られた。だからといって、大学を休むとか、自傷行為にかられるとか、そういうのは全然なかったんだけど。
この前私用で大学によってみたのだけれど、相変わらず人はいる。いるんだけど、いま改めて見ても閉鎖的な空間なことに愕然とした。