綺麗な文章でまとめればいいってもんじゃねーぞ。僕は村上春樹が嫌いだしリアリストだからな、文章力で包摂して事実に色づけるのは悪徳だと思っている。偽善と言ってもいい。
スナックで働いて全員が彼氏いないと嘘をついていたっていうブログを読んだがそのブックマークコメントのほとんどが良い文章というコメントで埋め尽くされていた。たしかに読みやすく良い文章だった。しかしそれとこれとは別だ。愛を嘘で売る商売を僕は支持しない。商売だから嘘もつくさ、スナックは楽園だから現実じゃない、なんて感覚も理解している。僕も付き合いで行くことがあるしな。だからあの甘ったるい空気も知ってる。
それでも客から見れば嘘つかれてお金払ってそのお金で彼氏とよろしくやってるなんて普通は裏切られた気分になるし心まで持っていかれた人間は嫉妬もするだろうしひどい時には復讐心に燃えてストーカーになる人間もいるだろう。それがホストとかキャバクラで現実におきていることだ。元ブログのスナックのようにそんな一線を画して遊んでいる人間はだいたい出張中のおっさんか恋愛をあがったおっさんであって店を支えているのはだいたい「どうにかできるんじゃないか」と考えている愚かな客なんだ。それが愛を売る稼業の汚い現実だ。僕はそれで破産した友人を知っている、キャバクラに入れ込んで嘘をつかれ続けて大金を失った。大金を貢がせた嬢は彼氏とよろしくやってるだろうし結婚して郊外で幸せに暮らしているかもしれない。嘘をついた罪すら忘れながら。
自分の世界を嘘で色づけして幸せに生きるのは良いが客にも客の世界があって男は好きな女性のためならいかなる辛苦も厭わない状態になるしお金を湯水のごとく使う馬鹿もいる。そして馬鹿であることは男が生きていくためのよすがなんだ。その愚かさを利用しあまつさえ搾取しようなんてのは悪徳であると思っている。
だからどれだけ文章力で飾ろうが嘘を正当化しようがそんなものは美学でもなんでもなくただの言い訳にしか見えないのだ。僕はリアリストだからな