親が離婚して母方のじーさんの体の具合がよくないからってので田舎に移住した。
一年後ぐらいにじーさんは死んだんだけど、初めての人骨のショックも冷めやらぬ数週間後、
雨の日に同級生と教室で俺が作った紙飛行機を飛ばして遊んでたら、同級生が投げた俺の飛行機が窓の外に飛んでいって花壇に落ちた。
「あっ、ごめん」と言われたので、「いいよー、拾ってきてね?」と言ったところ、その子が急にキレはじめて、あれよあれよという間に罵られまくって、
「じじいが死んだんだからお前なんか都会へ帰れ!」とまで言われて、はぁ?って思った記憶が不意にフラッシュバックした。
多分玄関を出た時に感じた今日の温度とか湿度が、その時の教室にそっくりだったんだと思う。
女子が職員室に通報して、その子は先生にしこたま怒られて、俺はまあ謝ってもらったし別にーって感じだったんたけど、
その後ピタっと遊ばなくなって、声かけてもにらんでくるだけだし、廊下ですれ違う時に時々無言で腹パン入れてくるしでなんかちょっと怖かった。
っていうか未だに紙飛行機の件で彼がキレ始めたスイッチが俺にはよくわからない。
転校直後にその子と遊び始めた頃、クラスの他の子から遠まわしに「あの子はちょっと……」って言われて、
よくわかんないしイジメとかは加担したくないから気にせず遊び続けてたけど、その一件以後の流れでちょっと納得して自然と距離を取るようになってしまった。
結果的にクラスで唯一親しく遊んでた俺が離れて、彼のその後の小・中学校生活を暗くしてしまったんじゃないかと今でもちょっと申し訳ない気持ちになる。
もっと積極的に対話を試みて、相手の感情が爆発したポイントを探ったりしていれば、関係がこじれてしまうこともなかったのかなー、とか。
自分に発達障害が発覚して、本とかで色々なケースを見知った今にして思えば、彼もそのテの性質があったり、不自由さを感じてたのかなー、とか。
まあ、俺が彼に何かしてあげられた可能性があるのは"その時"だけで、今いくら思っても何の意味もないのだけれど。
100%いらない世話だけど、彼がどこかで元気にやってることと、
俺はそうなれなかったけど、腹を割って話せる友人が彼に出来ているといいなと思う。