「従業員より顧客を重視する企業」でどうだろう。良い点はいくつかある。
ひとつ目は、法律と社会慣習に反すること。企業には従業員に残業代を含めた給料を払い、過剰労働をさせず、健康を維持する義務があるが、顧客満足は義務ではない。義務と義務ではないものがあったら、コンプライアンス上、義務を優先しなければならない。
二つ目は、噂話や暴露に頼ることなく、公的な理念等で検証可能なこと。例えば、*現在の*ワタミの企業理念として、「お店はお客様だけのものである」というものがオフィシャルサイトにあげられている。ゼンショーは、「お客様最優先を重視した教育訓練の機会を設けています」とのこと。ブラック企業においては、優先順位ははっきりしている。
1. 顧客
3. 従業員
ワタミやゼンショーには、会社と従業員が対等な関係を築き、顧客やその他関係者に共同して責任を負う、という企業と従業員の健全な関係は見られない。この順位を受け入れると、企業のブラック化はどうやっても避けられない。せいぜい「あまりに従業員をイジメすぎると従業員がいなくなるから、トレーニング費用がかかって顧客に迷惑がかかりますよ」みたいな話にしかならないが、「トレーニングしなくてもいいようにマニュアルとルールと什器を整えよう!」とか言われたらもうどうしようもない。社会には「仕事がありさえすればなんでもよい。」という人が一定数必ずいるし。
また、従業員だけをみて顧客を見ない企業は、そもそも利益を上げて存続することができないから、そういう企業が社会に害をなすことを心配する必要はない。会社は適切なバランスを求めるべきで、顧客のみに優先度を振り切ってはならない。