http://ameblo.jp/arikawahiro0609/entry-12095468256.html
一つの商品でできるだけ長く稼ぎたい・できるだけ利鞘のある商品を売りたいというのが商業上のセオリーだということは、働いている人ならご理解いただけると思う。そして、出版業界もそのセオリーに則って動いていることは、他業種と同じだ。
というのは一方的な都合であって「読者は理不尽に耐えてくれ」といっているだけだ。「顧客の理不尽を無視するから衰退するんだろ」以外の感想が出てこなかった。
「でも、最初は高い単行本で売って、後から安い文庫を出すなんてずるい」そう仰る方に思い出していただきたいのは、時間とお金は反比例するという資本主義社会における大原則だ。例えば電車。鈍行は安い。しかし、時間がかかる。移動に時間をかけたくない人は、特急を使う。つまり、時間をお金で買っている。「早さ」というサービスを受けようとすると、その分お金がかかるのである。
本当にこの理由しかないのであれば同じ値段でいいから単行本と文庫を同時に発売すればいい。
2年でも3年でも経った後に廉価版の単行本と文庫本を新装版でも新たな解説でもつけて売りだせばいい。
名のある文芸賞はだいたい単行本しか候補になることすらならない。だから賞をとったとしてもその時には単行本しか買うことができない。文庫しか読まない人は買う動機が一番高まっているであろうその時に買うという選択肢がそもそもなくなってしまっている。
なぜそんな数秒考えれば出てきそうなアイディアを実行しない? 理由は色いろあるのだろう。たとえば、単行本と文庫の部署がわかれていることが多い。その部署は収益も別々にとられているから本来協調をとるべき二者間がなぜかお互いがお互いの収益を食い合うライバル同士みたいになってしまう。もちろんこれが全ての原因などというつもりはないが、なぜ「こういう理由があるから読者は理不尽でしかない環境に耐えてくれ」なんて呑気にいえるのかと疑問に思う。