なんで逃げるように東京で一人暮らしを始めたのか、なんで結婚に対して幸せなイメージが抱けないのか、強烈に思い出した。
実家はそれはもう見るも無惨なゴミ屋敷に変わり果てていて、父がまともな生活をしていないんだなというのがよくわかった。家中カビだらけ、カビ臭い、埃まみれ、ダニも多い。数日の帰省で足は数ヶ所ダニに噛まれた。ハウスダストアレルギー持ちなのでマスクをしていないと顔面が吹き出物だらけになる。この家で20年も暮らしていたことが信じられない。そりゃあハウスダストアレルギーにもなるだろう。
ゴミ屋敷、本当にこの言葉がよく似合う。不要品にまみれている。汚い。
少し離れた親戚に「あなたの家は普通じゃない、はやく”普通の家庭”の”幸せ”を知ってね」と言われた時は失礼だな…と思ったけど、同情される意味がわかった。
悲しいけどこんなんじゃ幸せな家庭を築ける気がしない。結婚なんてできない。
こんな身内を抱えてるなんて知ったら相手が逃げていく気がする。私だったら逃げる。受け入れてくれたとしても相手がかわいそうだ。そして実際に身内は結婚間際で相手に逃げられている。
ある意味、母は早死して幸せだったと思う。こんな血縁、苦痛でしかない。姉だけは幸せになってほしい。だから全力で守る。信頼できる親族は姉だけだ。父はもう変わらないのだと思う。何度も母が泣いていたにも関わらず何一つ変わっていない。
深夜3時に大声を出し騒ぎ始めたので驚いて部屋のドアを開けると、部屋中が酒臭く、障子はボロボロ、木の枠もバキバキに折られていた。そして父は畳の上で小便を漏らしていた。まだ60歳にもなっていないのに、痴呆は早すぎるだろう。
そんな父を叱り、泣きながら身の回りを世話していた母は数年前に他界している。小中高と夜の喧嘩は絶えず、朝にも泣いてた母を覚えている。身内の金銭トラブルにも巻き込まれ、生活は大きく変わった。
「あなたたちがいるから離婚したいけどできない」「あいつら早く死ねばいいのに」と吐露していた記憶は今でも鮮明に思い出すことができる。生真面目だった母はストレスも溜まりに溜まったんだろうな、もう死んでしまった。
私も願う。身内には早く死んで欲しい。
父との距離感をどう保ったらいいのかわからない。一緒には暮らしたくない。この存在を恋人が知ったら終わってしまう気がする。更生させることに労力を使いたくない。
どうしたらいいんだろ。