2015-06-04

フェミニズム問題格差是正問題類似性

どちらも社会にある不平等不公平不正義を指さして「ここに問題があるので解決しなければならない」と叫ぶ点で類似性がある。

問題は、格差是正問題問題の焦点を論者が自由に設定できるということだ。年収100万円はいかにもすくないが、200万円だって問題にしようと思えばできる。300万円だって「それでは結婚が難しい」などという但し書きをつければ焦点にすることが可能だ。この焦点の選択は何に影響を与えるかというと「搾取されている人間割合」の設定に影響を与える。専業主婦を含む不労者を計算にいれれば、国民の50%くらいは年収250万円以下のラインに収まる。つまり年収250万円以下は搾取されている被害者である」という設定をぶち上げれば、国民の半分は問題に巻き込めるということで、これは年収部分を変更すれば7割だろうが8割だろうが「被害者側」として巻き込むことが可能だ。この種の変数設定可能な論は非常に取り回しがよい。

フェミニズムはそこの部分が弱い。そもそも「女性被害者である」という主張なので、どんなにどんなに頑張っても国民の50%よりおおくは被害者として設定できないのだ。世の中には当然自分環境に不満のない女性や納得済みの女性も多いので、現実的には国民の10%も被害者設定できれば良い方だと思う。もちろんだからフェミニズムが間違っているという話では全くなく、「そもそも共感を得るのも支持を得るのも最初からすごく難しい」主張なのだ

「どれくらい支持が得られる理論か」ってのはかなり重要で、たとえばその割合がかなり少ない場合、その理論の支持者はコミュを存続させるために理論過激派せざるを得ない。そこから始まるのは「社会を変革するための理論」というよりも「コミュを存続させるための理論」「コミュ内部で権威を保持するための極論」の類であって、カルト教団が生まれ過程のものだ。

穏当なフェミニズム社会に浸透して徐々に「一般化」してきたこの10年間という時間の流れから大きく逸脱し、「女性被害者であり男を打倒すべきであるタイプカルトフェミニズムはどんどん先鋭化してきてしまった。初期には社会耳目を集めるために有用だったこういう派手な意見オタク男は死ねも、同一の文脈)も、今ではフェミニズム負の遺産となってしまった。

現在日本フェミニズムが全力で戦うべき相手は、檀兼社会というよりも、日本フェミニズム論壇が抱えてしまった負の遺産なのだと思う。

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