ある男が自殺をした。結果的には死至らず未遂で済んだ。けれど閉鎖病棟に入院することとなった。
過去に自殺をして注目を浴びたメンヘラはいたものの、それは個人を超えて影響を与えることは少なかったし、メンヘラ以外の人にまで波及することはなかった、
彼は哲学に通じており、物事に対する考察が鋭く、文章による表現力も持ち合わせていた。そして何よりも行動力があった。
彼はメンヘラをコンテンツ化し、コミュニティを作り上げることに成功した。彼の高い能力によるところと、SNSの発達によるところが大きかったのだろう。
彼自身がメンヘラであったかは定かでは無いが、彼の書いたところによると妹がメンヘラであり、自身もスマートドラッグを常用していたという。
メンヘラというのは承認欲求が強く、メンヘラのコンテンツ化は功を奏した。
その中心人物ともあれば、当然のことメンヘラ女子を食うなんてことは容易かった。彼は多くの女性と関係を築いた。
彼の築き上げたものは徐々に露出も増え注目を浴びた。その道程は順調に思えた。
男と交友の深かったメンヘラの女性が人間関係のもつれから自殺をしたのである。飛び降り自殺だった。
彼女は独特の感性と文才を持ち合わせ、自身をコンテンツ化する能力が非常に高かったため、男の作ったコミュニティの中心人物となった。
飛び降りる直前、彼は女性と通話したという。これから死ぬという女性に彼は「死ぬな。生きろ。」とは言えなかった。
それ以降彼は彼女の幻影に苦しむことになる。夢に彼女が出てきたり、高いところを見ると自殺願望がでてきたそうだ。