あれは15年くらい前だったろうか。家からボヤが出て警察が来た。俺は何か色々しゃべって失火ということで済んだのだが、話はそこでは済まなかった。俺の記憶ではそんなことは起こらなかったからだ。
よっぱらっていたとか、寝起きだったとかなら分かるが、真っ昼間にアセトンかなんかを煮詰めててそれをこぼしたとかいいやがる。意味がわからない除光液煮詰めるバカがどこにいますか。
まーなん記憶はないけど、台所でそんなもん茹でたりひっくり返したりすりゃ、そりゃ失火もしますわ。というかよく死ななかったな。大やけどしたけど。
んで、その数日間の出来事がすっかりないってんで警察の人が困り果ててしまった。調書は取ったんだけど今度は全然違うことを言う。覚えてない、知らない。
しかし数日して、俺の仲がいい友だちに「あのことはよく覚えてるよ」とか言い始めたらしい。俺が。らしい。だって俺しらねーもん。
ここでさすがにおかしーだろって思う。靴屋の小人的なにおいがするよね。で、心療内科に行った。多重人格(今ではややこしい名前を使う、略してDIDっていったりする)の専門家で俺も名前を聞いたことがあるようなところに連れて行かれた。「あなたは多重人格です」といきなりオッサンは言った。「なんで分かるんですか」「交代人格が出てきたんだから多重人格だろ」「あんた何もしてねーじゃん」「時計をみてごらん」
45分くらい経っていた。記憶をなくすというのはよくあるが、時間がすっとぶというのはあまりないのでびっくりした。まあ、俺の仲には5,6人くらいいるらしく(逆に1,2人くらいしか居ない人はめずらしいらしく、俺は典型的らしい)治療の必要がある、と。
ガールフレンドができると、たまにだけど現れて、俺が話たくないような話をしたりするらしい。自分にもう何人か人格がいて、失火を起こしたり友人に電話を掛けたりしてるらしいってのは、ちょっと変わってるかもしれないけど俺には結構面白いことだった。
俺にも婚期とかいうやつがきたらしく、付き合っていた女と結婚すうことにした。そいつは俺のことをだいたい4,5人分くらい知っていた。そいつの、俺の(別の人格の)話を聞くのが好きだった。多重人格とかいうけど人を殺したりとかしなければ大したことないじゃんかくらいに思っていた。
朝、布団から起きると、4年連れ添った妻が居なかった。部屋はすっかり片付いて俺のものしか転がっていなかった。3歳の息子もいなかった。プラレールもなかった。
カレンダーをみると一ヶ月くらい経ってた。仕事はなくなっていた。
全く覚えていない。
その日、俺は大声とともに妻を外にひっぱりだし、ひたすら殴り続けたのだそうだ。子供が見る前で暴力はやめてくれと言ったらしいが、顔が真顔で一切聞き入れない感じだったらしい。ひたすら殴っていたそうだ。警察が来て、俺が引き取られて、嫁は子供をつれて実家に帰った。
そういや、父親の暴力に耐えかねて逃げ延びた母子がいたなーと思ったら俺のことだった。俺は俺を産んでしまったのか。
神経科医の言葉が思い。「DIDになった以上、結婚は諦めろ」と。俺ならうまくいくと思っていたんだよ。小説とかで読むのとだいぶ違うし。
離婚といわれてもピンとこない。嫁が「結婚の継続が困難な理由」としてどんな文章を捻り上げてくるのか今からちょっと楽しみだったりする。
これを書いたことを増田(主人格)はちゃんと覚えているのかな? 別人格が主人格の了承を得ずに、別人格だけが知ってるアカウントとパスワードで勝手に書いたんだったりして。
文章はしっかりしてるし、まるで小説のようだ ただ気づいたら1ヶ月が経っていたっていうのは事実だったら怖いねぇ
離婚といわれてもピンとこない。嫁が「結婚の継続が困難な理由」としてどんな文章を捻り上げてくるのか今からちょっと楽しみだったりする。 婚姻の継続が難しいと考えられるほど...
しかし何でアセトン煮詰めてたんだろうな、別人格は。
色んな人格が現われてるのか、何を言ってるのかさっぱり分からに。 これ、林先生の出番。 嫁や子供は想像上の人物、そもそも、この本人も想像上の人物ではないだろうか?
文章はしっかりしてるし、まるで小説のようだ ただ気づいたら1ヶ月が経っていたっていうのは事実だったら怖いねぇ
ちゃんと医者行けや。馬鹿か。
大学生の僕の考えた小説っぽいものって感じ
なんかボーダーとかメンヘラが何しでかしても 「私病気だから」で済まそうとするのと凄く近いような・・・
なんかボーダーとかメンヘラが何しでかしても 「私病気だから」で済まそうとするのと凄く近いような・・・