何年か前にTwitterを始めた
特に連絡やコミュニケーションをとるわけでもなく、互いに好き放題に呟くだけだった
そんなある日の早朝、ここ最近呟いてなかった知人が珍しく長い文章をツイートしていた
俺は仰天した
それは、知人の急死を伝える、知人の奥方の代理ツイートだった(遺品となった知人のスマートフォンを使って投稿したようだ)
急性白血病だったらしい
俺は動揺し、泣き、その日まともに一日仕事が手に付かず、会社を出るやいなや速攻で知人の実家に電話を入れた
電話には知人の母が出た
「あら、××ちゃんじゃないの。久しぶりねえ!」
「お久しぶりです。おばさん、このたびは何と言えばよいのか・・・」
「え、どうしたの?」
「まさか急性白血病だったとは・・・。その、通夜は今夜でしょうか。今から特急に乗れば間に合いそうなのですが・・・」
「え、何の話?誰か亡くなったの?」
「・・・え?」
知人はピンピンしていた
電話で俺は本気で怒った
「冗談が悪いにも程がある!今日一日俺がどんな思いをしたか・・・!」
「おいおいちょっと待ってくれよ。俺はTwitterにそんな事書いてないぞ?」
「嘘を言うな!今日の朝六時過ぎに、お前の奥さんが代わりに書き込んだ体で投稿してるだろう!」
「確かに今朝俺は呟いてるけど、時間は七時過ぎで『起床なう』だけだぞ?」
ここで初めて俺は違和感に気付いた
「お前のTwitterのアカウント、○○○○12345678だよな?」
「え、○○○○1234abcdだけど?つかお前、随分前に一緒に呑んだ時に俺のアカウントをフォローするって言ってたのに結局フォローしてないじゃん?」
俺は全く別人のアカウントを、知人のものだと勘違いしたままだったのか
いや待て
おかしい
俺は知人(だと誤認していた人物)のツイートを記憶の限り思い出した
誕生日が同じ
住んでいる地域も職種も、祖父の命日も同じ(学生時代に通夜に参列したので覚えている)
持っているスマホも(色も)同じ
そしてアカウントの最初のアルファベット文字列も同じ(違うのは末尾の数文字のみ)
そんな人間が居るのだろうか
俺は思い出した
妻と名乗る人物が「夫を思い出すのでアカウントは削除します」と予告していたのを
慌ててスマートフォンを手に取るが、時既に遅し
アカウントは消滅していた
俺は一体誰をフォローしていたのだろうか
そして知人にあまりにもそっくりなこの人物は、一体誰だったのだろうか