2014-03-18

創作です

何年か前にTwitterを始めた

フォローしているのは個人的な知人のみである

特に連絡やコミュニケーションをとるわけでもなく、互いに好き放題に呟くだけだった

そんなある日の早朝、ここ最近呟いてなかった知人が珍しく長い文章をツイートしていた

俺は仰天した

それは、知人の急死を伝える、知人の奥方の代理ツイートだった(遺品となった知人のスマートフォンを使って投稿したようだ)

急性白血病だったらしい

俺は動揺し、泣き、その日まともに一日仕事が手に付かず、会社を出るやいなや速攻で知人の実家電話を入れた

電話には知人の母が出た

「あら、××ちゃんじゃないの。久しぶりねえ!」

お久しぶりです。おばさん、このたびは何と言えばよいのか・・・

「え、どうしたの?」

まさか急性白血病だったとは・・・。その、通夜は今夜でしょうか。今から特急に乗れば間に合いそうなのですが・・・

「え、何の話?誰か亡くなったの?」

・・・え?」

知人はピンピンしていた

電話で俺は本気で怒った

冗談が悪いにも程がある!今日一日俺がどんな思いをしたか・・・!」

「おいおいちょっと待ってくれよ。俺はTwitterにそんな事書いてないぞ?」

「嘘を言うな!今日の朝六時過ぎに、お前の奥さんが代わりに書き込んだ体で投稿してるだろう!」

「確かに今朝俺は呟いてるけど、時間は七時過ぎで『起床なう』だけだぞ?」

ここで初めて俺は違和感に気付いた

「お前のTwitterアカウント、○○○○12345678だよな?」

「え、○○○○1234abcdだけど?つかお前、随分前に一緒に呑んだ時に俺のアカウントフォローするって言ってたのに結局フォローしてないじゃん?」

俺は全く別人のアカウントを、知人のものだと勘違いしたままだったのか

いや待て

おかし

俺は知人(だと誤認していた人物)のツイート記憶の限り思い出した

誕生日が同じ

子供性別も生まれた日も同じ

奥さんの名前も同じ(前述の代理ツイートで名乗っていた)

住んでいる地域も職種も、祖父の命日も同じ(学生時代通夜に参列したので覚えている)

釣りロードバイク趣味なのも同じ

持っているスマホも(色も)同じ

そしてアカウント最初アルファベット文字列も同じ(違うのは末尾の数文字のみ)

そんな人間が居るのだろうか

俺は思い出した

前述の代理ツイートには続きがあったのを

妻と名乗る人物が「夫を思い出すのでアカウントは削除します」と予告していたのを

慌ててスマートフォンを手に取るが、時既に遅し

アカウントは消滅していた

俺は一体誰をフォローしていたのだろうか

そして知人にあまりにもそっくりなこの人物は、一体誰だったのだろうか

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