2023-07-29

anond:20230723205746

承前 https://anond.hatelabo.jp/20230723205746

カテーテルでの手術だが、気管挿管をして全身麻酔で行うことになった。ミリ単位での治療になるので頭をなるべく固定したいとのことだった。

夫いわく、カテーテル検査局所麻酔で行ったのだが、造影剤が入った瞬間、うわぁつとなる感覚があって、思わず身体が動いてしまう時があるそうだ。

主治医は「脳ではそういう感覚は出ないはずですが」と言っていたが、術中に身体を動かさないように念のためとのことだった。

カテーテル手術が終わったら、1日明けて、開頭手術を行う。

開頭手術は、主治医ではなく、ベテラン脳外科医が担当してくれることになった。

脳外部長を務めるぐらいのキャリアがあり、後頭部からの手術の経験豊富だとのことだった。

頭蓋骨を外したらその部分はどうなるんですか?」

「骨をはめてから金属の添え板でふさぎます

「その金属があると飛行機に乗れないとかないですか」

「まぁ、金属が体に入っていると説明する必要はありますね」

詳細を聞くと、これはかなり大手術であることがわかった。

頭骨を切って外して、窓を作り、そこから顕微鏡で見ながら、脳の神経を避けながら、奇形になっている血管をレーザーで焼いたり、クリップを設置したりで、血流がいかないようにする。

こんな大手術に耐えられるのか。

説明を受けた夫が車イスで病室に帰った後、主治医に再度聞いた。

「どのぐらいリスクがあるものでしょうか? 夫の前では聞けないのですが」

持病がいろいろとある夫が開頭手術に耐えられるのか。開頭手術にはなんらかの後遺症が出るのではという不安があること、あまり例がない手術ではないかなど、率直に話をしたところ、執刀を担当する医師から話を聞けることになった。

執刀医も、主治医も、懸念をしているのは、問題の血管から出血脳幹にたまったことだという。

今回はたまたま出血量が少なかったから良かったが、次はこうはならないだろう。

脳幹生命維持に関わる個所なので、なるべく手術を急ぐのは再出血が怖いからだと。

このような部位に血管の奇形があるのは珍しいが、術式としては経験があるし、一か八かのような手術ではない。

セカンドオピニオンを取りますか?」と聞かれたが、セカンドオピニオンの手配をして、手術の段取りを壊すよりは、なるべく早く手術を受けた方がいいだろうと判断した。

1日目、カテーテル手術のために手術室に入ってから時間

懇談室で待っているのもくたびれて、手術室前のベンチに座っていたら、ちょうど主治医が出てきた。

「無事終わりました。もうすぐ出てきますよ」

と声をかけてくれた。

ICUに運ばれていくところで、

「終わったよ、手術うまくいったよ」

と夫に声をかけたが、麻酔ぼんやりしていて「え、なになに」というような反応だった。

ICUへ運ぶ看護師たちもホッとしたようだった。意識も戻っているしとりあえず、第1関門は通過したと思った。

ところが、翌日の午後、主治医から電話がかかってきた。

明日の手術は延期させてください」

なにか悪いことが起きたのか、とドキッとしたが、

「思ったよりうまく行って、開頭の必要がなくなったからです」

昨日のカテーテル手術は、脳の奥にあってメスがいれられない箇所にある奇形の血管を塞ぐのが目的だった。

夫の体の血管の配置が、生まれつきカテーテルを入れにくくなっているので、時間がかかっていたのだが。

今回は通常とは違う部分から入れるように工夫をしたところ、思いのほかうまくカテーテルが入ったそうだ。

それで、第一目標は予定よりも早めに成功

「昨日はとてもカテーテル調子が良くて」

主治医説明をしていたが、開頭手術で対応しようとしていた箇所の血管にもカテーテルアプローチをしてみたところ、ふさぐことができた。

造影しながら手術を進めていたが、画像を見る限り、対応しようとしていた血管のほとんどで血流がみえなくなってしまった。

翌日、画像を見ながら、夫と再度説明を受けることになった。

術前術後の画像比較して見たら、一目瞭然だった。

かに、血管の影が映っていない。

モヤモヤしていた部分が消えている。

予想していた以上の成功だった。

そのまま治療はせず、1週間後には退院となった。

治療副作用で、しばらくは激しい頭痛が続いたので、大事をとって入院をしただけで、再出血の恐れはほぼなくなっていた。

退院の時はタクシー帰宅をした。その日は近所を歩くのも難しかった。入院していただけで体を動かしたわけでもなかったのに夫は10キロ以上やせたそうだ。

「脳が回復しようと、エネルギーを使ったのかな」

「脳ってエネルギーを使うんだね」

リハビリとして、昼間は出歩くと体力が消耗するだけなので、夜二人で歩くようにした。

少しずつ距離が伸びて、やっとスーパーまで行けるようになった。そんなことがうれしい。

並んで歩けることがこんなにうれしいなんて。

記事への反応 -
  • 承前 https://anond.hatelabo.jp/20230617235402 「術前に会いますか?」と言われたので、ICUにいる夫を見舞った。 刺激を与えないようにと照明が消された一角に寝かされていた。 目にはカバーが...

    • 必ず最後までいてください。 主治医から説明があります。 と言われて、待っていたのだが、3時間を超えても看護師の呼び出しはない。 少なくとも終わったら声をかけたくれるだろうの...

      • 家に帰る前に夫の兄弟に連絡をした。 夫の身内は彼らだけなので、状況を説明して、面会は当分難しいことを伝えた。 二人とも驚いていたが、状況が変化したら連絡をすると伝えた。 ...

        • あれから一週間たった。 カテーテル検査の翌日も眠らされて、絶対安静でとにかく血圧を下げる処置を受けていた。 ICUなので見舞いと言ってもそばに行き小声で声をかけるぐらいしかな...

          • それから一週間は一般病棟で過ごした。 再出血の恐れはあるので、血圧を低めにして安静にするしかないが、主治医たちもいろいろと調べてくれているようだった。 主治医から連絡があ...

            • カテーテルでの手術だが、気管挿管をして全身麻酔で行うことになった。ミリ単位での治療になるので頭をなるべく固定したいとのことだった。 夫いわく、カテーテル検査は局所麻酔で...

              • 承前  退院して2週間。病院へ行き、夫はCT検査を受けた。今のところは問題ないそうだ。これからもしばらくは病院に通い、経過を観察することになるだろう。 リハビリを兼ねてふた...

                • もう見てないかもだけど、ご主人の退院おめでとうございます! 本当に良かった。顔も名前も存じない方だけど、自分ごとのようにうれしい。 ご主人が倒れたときは生きた心地がしなか...

          • 良かった。少しずつ回復しているようで。 次は退院報告があることを願っています。 増田も御身お大事に。

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