『ウルトラマンZ』を観ていると、毎週何かしらの良い意味でのサプライズがあり、
脚本と特撮を含む演出に密度の濃さを感じているのは、SNSで見かける反応を見る限り、
しかしながら、ふと思ったのが「実はニュージェネって各作品毎の質に波がある」という疑問。
・1作目『ウルトラマンギンガ』は、廃校を舞台に、主人公と元同級生達との交流を描く
青春ドラマを軸とすることで、低予算で作品の質を守る工夫がされていた。
・2作目『ウルトラマンギンガS』は前作の直接的な続編だが、スタントマン出身のメイン監督、坂本浩一と
脚本の小林雄次・中野貴雄が、ドラマと特撮とアクションをバランス良く成立させた。
・3作目『ウルトラマンX』は田口清隆監督とシリーズ構成4名の布陣で、各設定をアップデートさせた
・4作目『ウルトラマンオーブ』は田口清隆監督が続投、『X』でやりつくした正統的様式をぶち壊す方針で作られ、
人気を博したことでニュージェネレーションの基礎が確率された。
・5作目『ウルトラマンジード』は作家の乙一によるハードSF寄りな物語と、再登板の坂本浩一監督の明るい演出が
良い方向に組み合わされた良作となった。
・6作目『ウルトラマンルーブ』は、評価こそ悪くないものの、企画・設定に粗が目立つ作品となった。
・「防衛隊が存在しないと同じ町内の話ばかりになる」という某監督の指摘があるが、
『オーブ』の怪奇現象YouTuberチームや、『ジード』の治安調査団のような、防衛隊の代替機能となる
役割の存在が無く、企業城下町ウルトラマンというスケール感縮小が否めない。
・ホームコメディを目指したと言いながら、ドラマ面で兄以外の親・弟への掘り下げが殆ど無く、
学園ドラマ要素を盛り込もうとして破綻した『ウルトラマン80』と同じ轍を踏んでしまった様子。
・7作目『ウルトラマンタイガ』はウルトラマンタロウの息子・タイガと、出身の異なる2人のウルトラマンの
トリオと、タロウを逆恨みする拗らせウルトラマンとの戦いを軸として、宇宙人と地球人の対立や和解を描く
企画だったようだが、タイガ以外の2人のウルトラマンは出番が少なく、本編にはタロウも現れず、宇宙人差別も
ある程度踏み込むかと思いきや終盤の数話で噛ませる程度に終わっている。
…といった印象で過去作を振り返ってみると、『オーブ』『ジード』までの成功と、『ルーブ』『タイガ』の不調が
見て取れる(好みは皆違うので、異論は認めます)。特に『Z』の出し惜しみの無い展開を見せられた後では、
『ルーブ』と『タイガ』は出し惜しみ感や、設定やイベント消化に追われていた印象が強い。
ニュージェネの監督は皆優秀なのだけれど、メイン監督は、坂本監督や田口監督のような拘りの強さがないと、
悪い意味で企画・設定の消化で目一杯になってしまい、各話監督時のサービス精神が発揮しにくいのでは、という感想。
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