でないと嘘を吐いているのではないかと疑われるから、という理由で。
スペイン系の人達が、目下の者が目上のものの目を見るのは失礼にあたるとしているというのは、いつだったか何かの機会に教わった事があるような気がするけど、他はよく知らない。
私はコンビニでアルバイトをしている。オーナーの教育方針で私ども従業員は客の目を見て話すことになっている。
店には様々な人種国籍のお客様が来店するが、目を見て話す、という事に関してのリアクションは様々だ。
ある白人の男性客は、自分から店員の目を見る事はしないが、私が「ありがとうございましたー」と言って顔を上げ、目があうとウインクで応じた。以来、その人は私相手の時はわざわざ目を逸らすという事はあまりしない。
正社員女史によればその男性は近くの大学の英語講師をしているアメリカ人なのだそうだ。元々目を見て話す文化圏の人だが日本人に配慮して目を見ないようにしているのだろうか?
そういえばうちの子供の幼稚園のALTもそんな感じで、子供に対しては目を合わして英語で話すが、保護者に対しては不用意に目を合わさないし、挨拶は日本語でしかも日本式の深いお辞儀である。
日本にいる限りは日本の文化に合わせるように、彼らは指導されているのだろうか?
こちらが「いらっしゃいませ」と言って顔を上げた途端、「こっ……こんばんは!」とキョドって耳まで真っ赤になる外国人男性客が何人かいる。彼らの国籍はわからないが、多くは東南アジア系で、少数はたぶんもっと西の方のどこかっぽい。
彼らの国ではあまり人の目を見る習慣がないのか、男の目を女が見る事に何か特別な意味があるのか、興味深いけどわざわざ聞くほどの事じゃないので、知らないままだ。別にトラブルになってもいないし。
中華系以外の外国人の女性客はレジで精算するとき大抵不機嫌そうに横を向いていてこちらを見ようともしない。なので目が合う事がほぼ無いが、ふと目が合った時にこちらが笑顔で応じると笑顔で返される事が多い。ただ人によっては困惑した感じの笑顔をする。
ところで、私はこの地方の出身ではなく隣県から来た者なのだけれども、同じ日本国内といっても100km離れると目を見るという事については随分文化が違うのだと思う。
もしかすると私の出身地では目を見て話すという事が他の地域よりも当たり前というか、ちょっと独特なのかもしれない。
故郷にいるときは別に気にしていなかったが、背の高い人が屈んで背の低い人の顔を覗き込むようにして喋るとか、逆に背の低い人が背の高い人を見上げて話すとかいう事は、もしかしてちょっと変なのか?
少なくとも今住んでいるところではそういう事をするのは特別な間柄に限るらしくて、お互い顔を向けないままで会話するのが普通のようである。
ところがイケメン正社員氏はこの辺では珍しく、人ともろに目を合わせて喋る事が平気で、そのせいで人懐っこく見えて好かれるようだが、実はイケメン正社員氏のご両親は私と同郷なのだそうだ。