2015-06-30

アニメ業界低賃金工数で考える

アニメプロデューサー

ゲームソシャゲ&パチ含む)プロデューサー

狭い業界で身バレするんで細かいことは書けないが、アニメ業界低賃金について。

低賃金手塚治虫のせいだとか、いろんなことが言われてるが、俺としてはピンとこない。

今までメディアに出てきているのは、割と現場アニメーターや、評論家の話が多いので、

プロデューサーとしての、映像の受発注の話をしようと思う。

また実際には業界は単価仕事だが、はてなSEが多いので、工数に置き換えてみる。

アニメ制作費は1話につき現場に落ちるお金が1,000万〜1,500万。

それ以下の場合もあるが、その場合製作委員会からの分配で相殺するなど、なんらかのカラクリがある。

1,000万〜1,500万という金額は今は大体、

DVDBlu-ray通称円盤」)の売上が1巻あたり3,000枚という目標数値から捻出されている。

製作委員会は、実際には、原作料や、テレビの放映料含む販促お金必要なため、もっと多くのお金を集める)

なぜ円盤なのかと言えば、原価率が低いから

キャラグッズなど他にいろいろ作られるものはあるが、多くは原価率が高く、製作委員会で分配できるお金は僅かになる。

ここから工数計算

22分のテレビアニメ1話は、約300カット動画3,000枚で構成される。

業界内の標準的な1日あたりのノルマ長時間労働の温床なので、8時間労働基準に考えた。

それでもスキルが低い人は残業必要な感じ。

原画は1日2カット=1人月40カット。つまり1話=7.5人月

動画は1日8枚=1人月160枚として、1話=18.75人月

 動画検査を0.5人月

・背景は1日2カット=1人月40カット。つまり1話=7.5人月

・仕上(彩色)1日16枚=1人月320枚として、1話9.4人月

 仕上検査を0.5人月

脚本

絵コンテ

演出

作画監督

美術監督

撮影監督

このあたりはベテランで月2本やるひとも多いが、長時間労働特殊能力の賜物なので、

それぞれ1話=1人月

撮影コンポジット)1日2カット=1人月40カット。つまり1話=7.5人月

音響制作費はちょっと工数がわからないが、大体100〜150万なのでそのまま据え置き。

編集プリントや機材費、用紙などの備品はトータルで一旦100万とする。

ここまでで工数57.65人月+200〜250万円である

実際には3Dカットがあったりすればさら工数がかかる。

またなにより、上記の工数にはまだ、SHIROBAKOの宮森あおいでお馴染みの、制作進行の費用が入っていない。

それに本編のみの費用で、OPEDはまた別である

大手SIer並の人月100万とは行かないまでも、ゲーム系で標準的人月70万+進行管理費10%で計算してみると、

・4,660万円

人月50万+進行管理費10%まで下げてみても、

・3,391万円

となる。

念のため書くが、上記の70万とか50万という数字は、そのままスタッフ給料ではない。

会社固定費利益を引いた上で、残った金額がスタッフに分配される。

最初に挙げたアニメ制作費、1,000万〜1,500万と

上記の工数絶望的な開きが、そのまま現場の苦しさとなっている。

  • http://anond.hatelabo.jp/20150630013105の続き。 アニメ業界の低賃金の解消にに必要なのは ・適切な工数計算 ・制作体制の効率化による工数削減 ・制作費を回収するためのビジネスモデルの構築...

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