2014-09-30

http://anond.hatelabo.jp/20140930195050

たまたま読んだので感想。賞めてないので、賞められたいなら読まないこと推奨。

以下、気になったところ。

最初三人称視点で始まって、途中から主人公視点になるのは別に構わないが、なぜそうなったのか、必然性が感じられない。むしろ最初から主人公視点であった方が、すんなり感情移入できたと思う。

シチュエーションちょっと特殊姉妹のうち一人が、ではなく、姉妹全員が喫茶店経営に関わっている、など)なのに、説明がないのが不親切。

登場人物の年齢関係が分からないので、春香は幼いのか痛い子なのか分からない。また、マスターの人物像(せめてイケメンなのかおっさんなのかくらい)もゼロなので、読み手の側で「誕生日を祝いたい」と思ってる主人公の心情を、どう扱っていいか分からない。

・「ほほえましいエピソード」なのか「痛い不思議ミステリー」なのか、読み終わるまで話の方向性自体も分からない。見せない書き方もあるとは思うが、いかにも「微笑ましい日常雑記短編」かと思わせて最後まで読むと実は「ミステリーの序章だった」、ならまた別の面白さがあるだろうが、「どうなのか」と思って最後まで読んで「やっぱり単なる日常雑記でした」では、せっかく最後まで読んだ相手もがっかりさせる。

・「りんご」がテーマなら、季節感としては冬の初めが適切だが、Appleと引っかけたかたから秋になったのか。しかし、そもそも「iPhone6」を「あっぷるろく」とは言わないだろうし、言ったとしても、それを林檎6個と間違えるというのは、相当難しい。春香小学校低学年という設定ならまだ分からなくもないが、「アップル林檎」が分かるのにiPhoneが分からない、というのは現代っ子らしくないし、また林檎6個を自由に(姉妹相談なく)買えるお金をもっているというのも、なんだか奇妙。

お話の狙っている「おもしろさ」が、誰にヒットするものなのかがよく分からない。怪しいおっさんマスターに揺れるアラサー女子の心情を描きたかったのか、青年マスターときめく不遇な女子高生の初々しさなのか? どちらにしても、この話を面白いと感じる人は一体誰なのか?(前者だとして、アラサー女子はこれを読んで「分かる分かる」って面白がるのか? 後者だとして、女子高生が「あるよねー」って思うのか? あるいは女子高生時代を懐かしむお姉さんがたが微笑ましく読んでくれるように書いているのか? ということ。)


結論、まとめると

 「設定が分かりにくく読みづらい」

 「ネタの詰めが甘い」

 「ねらいが絞れてない、または、ねらいに向けて効果的にアピールできてない」

という感想

以下、少しだけ賞め内容。

よいところは、おそらく書き手の中に「世界」があって、それを構築するだけの力量はあるのだろうな、と感じられるところ。それのあるなしで、細かい部分の書きようが違ってくる。情景が浮かぶように書けるし、読ませるものはあると思う。秋の空気が感じられた。あと、書いたモノをどんどん出そうという前向きな姿勢もよい。

書く能力を上げるにはたくさん書くのが大事と思うが、上の2つは、たくさんモノを書いていく上で必要な才能なので、その両方を持ち合わせているのだから、どんどん書いていけばひとかどの書き手にはなれると思う。上の批判も、たぶん肥やしにしてくれるだろうと思ったので書いた。

物を創り出せる人というのは偉いと思う。素直に尊敬する。頑張ってほしい。

記事への反応 -
  • 良く晴れた、ある秋の日。 からころとカウベルのような音を立てて、喫茶店に一人の女性が入ってきた。 正確に言えば、扉に付いているのは高地で放牧されていた牛がつけていたものを...

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