2014-08-16

30歳から34歳が受けた心の傷

30歳から34歳という年齢は、有効求人倍率が1を割った就職氷河期のピーク時に卒業の時期を迎えた年齢とドンピシャだなぁ。

当時就職がうまく行かなかった人は、自分に自信を無くした。自分が劣っているのだと思った。周りの人もそう思った。世間も「景気が悪い」事はわかっていたけど、それがどの程度なのか把握している人は殆ど居るわけ無くて、もちろん有効求人倍率がどんな事になっているのかを知らない人も多かった。上の世代にも下の世代にも、就職できない駄目な奴という視線を浴びせられた。ほんの数年生まれるタイミングが違っただけで、同程度の努力をした人でも就職できたのに、今この年齢の人たちは当時就職できなかった。そして企業新卒採用するので、最初タイミングで躓いた人はもう就職希望はほぼ途絶える。

やっと今になって、今この年齢の人たちが受けた心の傷にも注目が行くようになった。仕事をするという事へのトラウマーです。社会コミットするという事へのトラウマーです。すこし注目されたとしても、助け舟は出ません。政府対応もままなりません。殆ど世代には関係の無い話、ひとごとですからね。ホームレス対策で段ポールハウス撤去するかのように、ネットカフェへの規制を強めるぐらいしか対応できません。

就職できない。周りからは「努力不足」と切り捨てられる。そんな人たちにとって生きる方法の一つが引きこもりで、親を脅してでも養ってもらうことでした。ある意味でたくましく生きていると言えると思います

他の世代が受けられた社会的恩恵よりも、ずっと低い生活覚悟すれば、仕事は無いわけではありません。しかし、上の世代と比べても、下の世代と比べても、同程度のレベルの人が正社員暖かい家庭やマイホームを築けていても、同じぐらい、いや、それ以上に努力しても、この世代の人たちにはそんな仕事はなかった。派遣日雇い労働して狭い部屋で独りで暮らすか、実家の親に養ってもらうか、そういう選択だったのです。

生活水準を大きく落とすというのは、精神的に苦痛を伴う難しい事です。もちろん、そうしてしっかり生きている人もたくさん居ます。そうできなかった人もたくさん居ます。それが引きこもりが極端にこの狭い世代に集中しているという事です。

程度の低い暮らしをしていると、他の世代からは、その程度の人間だったのだなと見られます。年齢を確認して、有効求人倍率の数値を把握して、しかたの無かった世代なのだなと考えてくれる人は少ないと思います引きこもりに対する目線もそんなもんです。

世間は厳しい。特に今30歳から34歳という年齢の人に対して厳しかった。今も厳しい。世間容赦なく駄目人間を見下す。この世代もひっくるめて駄目人間を見下す。それがどれだけ苦痛でつらい心の傷になっているかなんて、他の世代にはわからない。戦中世代であれば同情もされただろうに、この短い期間に起きた出来事は、ほかの世代には実感としてわかりようが無い。新聞ひきこもり事件を目にして「困ったわねぇ」とつぶやくぐらいにしか関心は無い。

当時インターネットが家庭に急速に普及した時期でもありました。お互いの心の痛みを癒しあえる仲間と繋がれるインターネットに皆逃げ込みました。インターネットを使った就職活動をしても、何を遊んでいるんだという目でしか見られなかった。

ひきこもりでなくても、正社員になれないで非正社員が多いのもこの年齢の人たちです。労働法改定派遣労働が急に増えました(*1)。企業正社員を採らないようにしたので、あぶれた人たちの受け皿として役に立ちました。近年報じられるように、派遣労働実態は単なる劣悪な労働環境です。うたい文句は新しいライフスタイル、自由の選択、そういった物でした。

世代就職に失敗した人が多いと、ちゃんと就職できた人が居ても、同窓会も盛り上がりません。

どうしたらいいの? おしえて、ダンコーガイ!

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