はてなキーワード: 懲罰的損害賠償とは
こういうのを防ぐためにあるのが「懲罰的損害賠償」だ。あきらかな不法行為に対しては、補償分だけでなく懲罰的な意味合いで何十倍もの賠償金が課せられたりする。たとえば、今回のJR事故なんて、補修すべきレールを放置してた事故なので、ああいうケースだと賠償金は莫大になりかねない。だが、残念ながら日本には、法制度上、懲罰的損害賠償という概念がない。なので、増田のように「相手の不当は明らかでも、面倒だからあきらめる」という事態が発生する。
ただ、懲罰的損害賠償が認められる社会では、逆に訴訟リスクが下がる(あるいは訴訟期待が上昇する)ため、社会全体としての訴訟コストが上がり、みんなで負担すべきお金は増えてしまう。なかなか、うまくいかないものだ。
法人に対する懲罰的損害賠償が日本で導入されたら、過労死やブラック企業は一瞬で無くなるけど、どうして日本では懲罰的損害賠償が認められないのだろう。
ブラック企業の経営者は冷徹であるが「馬鹿」ではないので。彼ら(特にオーナー社長)は、会社が潰れることを死ぬほど嫌がる。懲罰的損害賠償で、数億から数十億の賠償を命じられれば、当然会社は窮地に陥る。経営者は絶対にそうしたくない。だから、絶対に無茶に働かせなくなる。営業停止でも良いではないかと思われるかも知れないが、それでは、従業員が会社を訴えるインセンティブにならない。
懲罰的損害賠償の何が素晴らしいかと言えば、従業員をそのまま密告者にできる点だ。残業代を裁判で請求して数十万にしかならないなら、多くの従業員はやろうとしないだろう。でも、数億なら?生涯年収くらいもらえるなら?
私ならわざとブラック企業に入って、サービス残業した上で、懲罰的賠償金をせしめるだろう。従業員が密告者になった企業はどうしたら良いか。とにかくきちんと残業代を払うなり、従業員の健康に留意せざるを得なくなる。そうしないと「会社が潰れる」からだ。