2024-09-13

見知らぬお婆ちゃんからお菓子を貰った

ちょっと遠くに出かける用事があって、東京へ向かう電車の中。

人はそこそこ、空席がちらほらと見える程度。そこに3人のおばちゃんがやってきて、自分右側に2席空いていたのでそこに2人座った。

条件反射で席を立った自分が「座りますか?」と尋ねて自分の席を振り返ると、空いていなかったはずの左側の席が空いていた。

元々自分左側に座っていたお婆ちゃんが(そこに誰かが座っていたことすらその時に気づいたのだが)パッと1つズレて自分に席を空けてくれたのだった。

「あ…ありがとうございます

咄嗟のことで滑らかに感謝言葉が出ず、少し噛みながらさっきの席の1つ左に座り直した。

そこで自分に席を空けてくれたお婆ちゃんが口を開いたのだった。

あなたね、良いことをしたから。きっとこの後良いことがあるわよ」

その瞬間に、見知らぬ、一生関わりのない「他人から、お喋り相手の「友達」に僕らは変わった。

終点に着くまでのほんの数駅、時間で言えばたった5分かそこらの会話だったが色々なことを話した。

これから大阪彼女のところに遊びに行くこと。

今は大学院生お金がなく、彼女に会うのも久々だということ。

若いうちにいっぱいお金を持ってるとお金価値がわからなくなっちゃうから最初お金が手に入らないようになってるのよ」とそのお婆ちゃんは教えてくれた。

お婆ちゃんの従兄弟自分と同じ大学に通っていたらしい。しか医者を目指して卒業してから医大に入り直して、かと思ったらまた大学院で元の大学に戻ったのだとか。

ほんとにちょっとしたことの、他愛無い会話の時間

終点に着きそうになって、立ちあがろうとした僕にお婆ちゃんは「これ、あげる」と一言、手に持った黒いバッグから梅干しお菓子をくれた。

「『良いこと』って、これなんですね」

そう言って受け取って、「またいつか」と握手をして僕らは別れた。

電車を降りる間際、気になって何度か席に座ったままのお婆ちゃん視線を送った。

けれど彼女は一度もこちらを振り返らず、ただのんびりと正面を向いて座っていた。

これが歳をとるということなのだろうか?

なんて思いながらも、誰に向けるわけでもない一礼をして僕は電車を降りた。

ついさっき、本当に30分ぐらい前の出来事だ。

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