2023-06-28

anond:20230627141306

昭和出版された小学校向けの本で、「○○のむかしばなし」というシリーズがあった。「○○」には都道府県が入り、そのとおり各地方に伝わる民間伝承のような地方色あふれる昔話を収録してある。

(これはどうも教職員向けに配られた?ものらしく、一般書店では出回らなかったようである

その「鹿児島のむかしばなし」というのが幼少の頃一時的我が家にあり、そこに収録されていたある一話が “ 大根汁 ” をネタにしたもので、とても印象深く、成人してから出所である母方の祖母(母が成人するまで小学校教員だった)に訊いてみたら何冊か抱えていたようなので譲ってもらったくらい好きな話だ。

…ともに独立していた農家兄弟がいた。当初は二人とも貧乏であったが、勤勉な弟はよく働いて分限者(ぶげんしゃ = 金持ち、と註釈あり)となった。一方、怠け者の兄は働かないので貧しいままであった。しかし伝え聞いた弟の境遇は羨ましい。どうしてそんなに金持ちになったのか?と訊きに行くと、「早朝に鍋に水を張り大根を入れて大根汁の用意をして農作業に出掛ける、ひと仕事おえて帰ってきたら美味しい大根汁が喰える」それがモチベだよ兄貴、と諭された。

なるほどなー、と感心した兄は早速翌朝に、「早朝に鍋に水を張り大根を入れて」作業に出掛けた。そして帰ってワクワクしながら鍋蓋を開けたのだが、水に大根が浮いているだけであった。

半泣きの顔で弟にクレームを入れに行く兄であったが、要領を得ない兄の説明をなだめながら聞き出した弟は「火にかけたか?」と問題点を指摘、なんとそうなのか!と聞き入れて(そうつまりこの兄はちょっと愚鈍だが素直なのであった)翌朝の再挑戦をはかるのであった。

そして弟の手順どおり大根汁をセットして出掛け帰宅した兄を待っていたのは今度こそ旨そうに煮えた大根汁であり、大感激で味わうのだった、…そんなふうにして兄弟はよく働くようになり、兄も分限者に、弟はもっと分限者になっためでたしめでたし!というストーリー

(この兄が「出来てない大根汁にガッカリするところ」と「上手くいった大根汁に破顔するところ」の素朴な挿絵が付いていて、それがまた大根汁という未知のレシピへの興味を加速させるのが当時ほんとうに好きだった)

記事への反応 -
  • 大根の味噌汁って大根の旨味なのか独特の味がする。もちろん他の野菜でもそれぞれの味がするんだけど、私は大根の味噌汁の味が好き。 6ミリくらいの細い拍子切りにして、他は油揚げ...

    • 昭和に出版された小学校向けの本で、「○○のむかしばなし」というシリーズがあった。「○○」には都道府県が入り、そのとおり各地方に伝わる民間伝承のような地方色あふれる昔話...

      • 鍋に火かけたまま仕事に出かけるの?非常に教育に悪いな……

        • 囲炉裏の端に座る風に挿絵が描いてありました(それくらい昔の話ということで)

    • ジャガイモと玉ねぎが至高やで

    • 大根美味しい分かる〜 玉ねぎと卵の味噌汁好き あとにんじん

    • 同じく、大根の味噌汁好き。独特のいい匂いするよね。おでんみがある。 ちょっと油っけが欲しいので、油揚げを合わせたいところ。 豚こまをちょっと入れても美味しい。エスカレート...

    • 大根の味噌汁美味しいよね。 大根おろした時の水分を味噌汁を煮る鍋に投入すると、大根のうまみが足されてよい。 但し大根のしっぽは苦いから味噌汁には使わない方がいい。

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