まぁ、向いてなかったんだと思う。
僕の入っていた研究室は、研究室内で二つのグループがあった。研究室全体としては画像処理がメインだったんだけど、2次元画像解析をメインとするグループと3次元解析をメインにするグループに分かれてた。
それぞれのグループには教授がついていて、一つの研究室に二人の教授がいるっていう珍しい形式だった。
僕は三次元解析グループに属し、光学系を組んでそこから色々するって感じなことをやってた。
研究室内では年に2回、進捗報告会を行なっていた。
当時学部4年生だった僕は、卒論のこともあるので、ある程度研究報告できるくらいには結果を出していたし、それなりの考察ができていると思っていた。
報告会がスタートした。
途中噛んだ部分はあったものの、ほぼ30分時間通りに発表が終了した。次は質疑応答である。
僕「今回提案した実験系ではまだ可能ではありません。ですが、実験系の改良や、新たなアプローチによる計算手法が生まれたら可能になると考えます。」
助教授は納得行っていなかった。
助「もし、観測できる実験系と、新しいアプローチがあったとしたら、〇〇の観測は可能ですか?」
僕「それが用意されているのであれば、可能だと考えています。」
発表会場がざわつく音が聞こえた。
僕の受け答えが可笑しいのだろうか。周りの人は質問の意図が理解できているのか不安だった。
教「出来るわけないやろ。〇〇なんて小さすぎるでしょ。そんな小さいもの、どんな実験系用意したって出来ないやろ。 そんなことも分からないんか。 もうこんな恥ずかしい発表と問答はやめてくれ。」
発表会場は一気にシーンとなった。
僕は「すみませんでした」と声を絞り出した。
正直、泣きそうだった。
そのあと質問はなく、席についた。
同じグループの指導教員からも、直上の先輩からも、誰からのフォローもなく、アドバイスもなく、気づいたら発表会場には僕しか残っていなかった。
そうか、恥ずかしい発表だったんだな、聞くに耐えなかったんだろうな。
僕はつくづく、研究に向いてないんだなぁと感じた。
なんで研究室内の報告会でよその教授が出てくるんや・・・