北海道にやってきて早10年、奴らに謙遜は通じないということをようやく学んだ。
渡道のきっかけは大学進学。とはいえ動物のお医者さんの大学ではなく、札幌に位置するただのFラン大学。在学者は北海道出身者が半分以上を占め、私の友人もほとんどが実家住まいだった。
私は本州の地方出身のため、大自然いっぱいの土地は心地よかった。しかし、友人関係で徐々におかしいと思うことが増えてきた。謙遜が通じないのだ。少しでも謙遜を交えて話すと、後日それが陰口に変わる。
私「いや〜カツカツでなんとかやってるだけだよ〜」
という会話をしたとする。すると後日「あいつんち貧乏なんだってよ」という噂が回る。
しかもそれが別の友人経由で心配される。「今月キツいって聞いたけど大丈夫?」のように。友人は心から心配してくれているが、かなり話が変わっている。最初は私が嫌われ者なのかと思った。しかし長く付き合うとわかった。北海道民は謙遜がわからない上に噂好きなのだ。
Fラン大だからと思ったがそうでもないらしい。そこそこ札幌では大手の企業に就職したが謙遜が通じないのは変わらない。
出る杭は打たれる文化の根強い本州のど田舎で育った私には自然と謙遜する話し方しかできなかった。もちろん謙遜しすぎもいやみったらしいため加減が必要ではあるが、(仮に事実だとしても)見栄っ張りは良くない・謙遜は美徳という意識が刷り込まれている。
そのため言葉を額面通りに受け取られる文化に慣れず謙遜し続け「あいつはたいしたことないやつだ」と思われるに至る。幸いなことに人事評価には影響ないようだが、同期では1番できないやつと思われている。北海道で謙虚に生きるとナメられることをようやく学んだ。
奴らは謙遜しないでありのままを話す。それに慣れて話すことができれば心地いい環境だと思う。大自然のように素直であるがままなのが北海道民なのだ。それもそれで美徳だとは感じる。