職場は医療職に近いところがあるが、老人が搬送されてくるとその病状や罹患歴を詳しく調べることが多い。
やれ、暴力沙汰があっただとか
排泄が一人で困難だとか、オーバードーズやら自傷やらがあり拘束の必要性に迫られたりもするからだろう。
だけど欧米では精神医学はかなり進んでいて、気軽に受診できるものだ。
アルコール中毒の患者も世の中には多くいて、実際医者にかかれば診断が下る人も少なくはないだろう。
かくいう私の母も昔は精神を患っていた。
父との確執が原因で、運転中に粗暴になるなどかなり不安定な様子を見せていた。
例えば病気一つでも発覚すればメンヘラと罵られて、仕事すら就けないパターンがある。
本人は服薬して、自制すれば社会に適応出来るのに、何故か問題とされるのは患者で社会の方ではないとされる。
私は、そういう親を持つ子供だ。わざわざオープンにはしないがそういう親を持った以上は、そういう家庭に生まれたからにはどんな偏見の目にも母がどんな状態になることも耐えなければならない。
だけど、もう少し精神医学への理解が社会に浸透すればいいのにと期待も抱いてしまう。
彼らは同じ人間で、傷付けられれば、傷付く。
そして健常者と似た判断能力があり、主張もする。仕事の能力もある。精神疾患があってもそれには度合いがあり、上手く調整も可能だということ。
確かに普通の人よりは脆い。自立も困難かも知れないが人としての感性はあるということ。
これが理解されるのは十年後、二十年後の事だろう。