2021-11-01

目標に近づくほど現実が見えてきて、その色がくすんできたとき

さいころから、なんとなく、漫画家が夢だった。

大きな出版社編集者から、声がかかって、紙の雑誌で連載して、単行本出版されるのがステータスだと思っていた。


同人誌を描いた。コミケで売った。

割とストイックに頑張った。

画力が上がって、ついに、連載が決まった。

しかし、私が漫画家を目指し始めたこから時代は、状況は少し変わっていた。

現在の主流の媒体は紙ではなく、SNSだ。

バズった漫画が後から紙の単行本になる。

誰でも個人電子書籍を売れる。電子書籍が売れると出版社から「これ単行本しませんか?」と声がかかる。

電子書籍を買うのも普通になった。


雑誌は…いまだにステータスではあるものの、その制作過程では編集者ものすごいパワーをもつ

雑誌掲載されるまでは、一円ももらえない。

構想、ネームラフ、線画、仕上げ。

どのタイミングでも、容赦ない指摘、ボツが起きる。しかし途中で降りれば報酬は無しだ。

編集のさじ加減一つで、作業量は大きく変化するし、内容も大きく変化する。

それが漫画にとって良いかいかはおいておくが

私にとっては、先ほど説明したネット漫画の状況変化も相まって、やりとりを続けるのがしんどくなってしまった。

私にとっても、出版社権威が薄れてしまたからだと思う。

「なんでバズらせたこともない人の指示を受けてるんだろう」

「この人は何の実績があるんだろうか」

不信感がつのるようになってしまった。


そんなことが重なり、

数年単位で憧れていたのに、近づいてよく見てみたら「あれ?そんなに良い物ではないかも」と気づいてしまった。

そんなに輝かしくない、どころか少しくすんでいることに気付いてしまった。

半年ぐらい「だとしても…憧れてた初心を忘れるな!」と自分を励ましてきたけど、今日、急に糸が切れた。…というか悟った。

服屋で、遠目から見て「この服いいじゃん!」と思って近づいたら、ほつれがあるし、カビもある。…値段も高くね?

そんな状況なのかもしれない。

これが年単位から気持ちを切り替えるのにかなり苦労していたけど「これなら要らないか」と次の良さそうなものを探す方がいいのだ、たぶん。

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