幼い頃は薄ぼんやりと自分も両親達のように誰かと結婚して子供を産む時が来るのだろうなと考えていたが
出産という自分の股の間から大きな質量をひねり出す激痛を伴った行為が怖くてたまらなくて、
遠い将来の話にもかかわらず考えるたびに足がすくむ思いだった。
それからしばらく生きて、誰かと恋仲になりたいとか、子供を育ててみたいとか、
そういった欲求が全くないことに気付いた。
一人暮らしを始めてからは、そもそも誰かと同じ空間で生活するということ自体が
大きなストレスになるタイプの人間だったということもわかった。
一人で誰にも横槍を入れられない空間で、映画を観たり絵を描いたりしながら暮らす、
そういうことに何よりも幸せを感じた。
このまま好きなものたちと向き合いながら、静かに過ごしていけたらな、と思う。
でもこのままの生活を自然に死ぬまで続けるということはできない。
身体的に問題がないにもかかわらず自らの意思で次世代を生産しない、
全てを金の力で解決できるだけの財力もない、
いつか身体が衰えて一人では何もできなくなった時に、誰かの子供の重荷になってしまうから。
おそらく自分は子供を産まないだろう、と気付いてから15年近く、
いつか自殺しなければいけない、ということを頭の片隅に置いて生活し続けている。
自殺の方法についても何度も調べてシミュレーションを重ねているが、
どの方法を選んでも痛そうで苦しそうで、足がすくむ。
それでもいつかやらなければいけない。まだ先の話だから、なんて後回しにしていたらあっという間に時間は経つ。
あと何年くらい生きてるの許されるんだろうな。