子どものころから漬け物が苦手で、カレーに添えられた福神漬けはもちろん、その色素で赤く染まったごはんさえも食べたくないと駄々をこねる子どもだった。コマーシャルで「きゅうりのキューちゃん」とか「しば漬け食べたい」とか聞くたびにおぞましい気持ちになった。ハンバーガーのピクルスはいつも抜いてもらった。出されたおにぎりの具が梅干しと判明したならおなかがいっぱいだとウソをついた。
現代社会になるにつれて漬け物は消えていくかと思いきや世の中はひどいもので、高菜チャーハンだの豚キムチだのキムチ鍋だのが流行りの食べものとして出てきた。注文したことも食べたこともない。幕の内弁当にはいつもご丁寧に漬け物が添えられる。いつも残してきた。昼飯をぼーっとして食べていて、弁当のデザートにパイナップルが付いてる!と喜んで食べたらたくあんだったことがある。人前だから吐き出すわけにもいかず間違えた自分を呪った。
何がイヤって酸っぱいのが嫌いなのだ。酢のにおいが大嫌いで、寿司屋のそばを通るときだってこっそり鼻を抑えているくらいだ。理科の実験で酢酸を扱ったときなんかは本当に最悪だった。CH3COOHは憎しみとともに覚えている。酸味が嫌い、酸っぱいにおいも嫌い。そんな感じで30数年生きてきた。
その私が、最近、もしかしたら変われるのかもと思いはじめた。きっかけは奈良漬けを食べたことにある。普段の法事で出されても手を付けずにきたのだが、去年は法事そのものがなくなって、代わりに奈良漬けが送られてきたのだ。いらねー!と思ったが捨てるわけにもいかないとも思って、粕をぬぐったその切れ端をおそるおそる食べてみた。意外なことに食べられた。酸っぱくないからなのかはわからないが、初めて漬け物をすすんで食べたのは良い経験になった。
それから周りに酸っぱくない漬け物を教えてもらうようになった。全然酸っぱくないと勧められた中にはかなり酸味の強いのがあったりして、他人の味覚を信じきることはできないなと思いながらも少しずつ食べるようになってきた。それで今、もうちょっと酸っぱいのにチャレンジしてみてもいいのかもしれないと思っている。今興味があるのはキムチなのだが、はたしてこれはちょっと酸っぱいのカテゴリなのかわからないでいる。最終目標は酢で締めた魚を食べられるようになることだが、これは無理だろうと思っている。
比較的に酢っぱくないキムチをえらぶなら消費期限が遠いものを、買ってすぐ食べるのがよい。 冷蔵庫でも乳酸発酵が進むので消費期限切れまでほうっておくと舌に炭酸を感じる。 あと...
日本のスーパーで売ってるキムチは酸っぱくないと思う。あとキムチの酸っぱさ成分は乳酸菌=ヨーグルトなんで大丈夫かもしれん