それは黒人がどうとかいう以前に、単に彼らが「自分のアイデンティティが崩れる」という経験をしていないからだ
たぶん本当にそれだけなんだと思う
それまで形式的にでも信じていたことがことごとく裏切られ、価値観から何からよそから持ち込まれたもので塗り替えられてしまった
だからこそ今でも「愛国を堂々と口にするのは恥ずかしい」という空気が残っている
ヨーロッパにしても、ちょっと前までは勝ったり負けたり占領したりされたり、あとはクーデターやら革命やらも日常茶飯事だった
もちろんそれらを直接経験した人間ばかりではないにせよ、「アイデンティティや世界観は時に大きく揺さぶられる」という事実が国民全体として記憶されている
それは普通の歴史なら割と当たり前のことだが、しかしあの国にはそれがない
あれだけ甚大な被害を出した南北戦争ですら、結局は北部の信念をより強くするだけに終わってしまった
だからあいつらは自分のアイデンティティや信念に対し、全くと言っていいほど疑いを持っていないのではないだろうか
「信じれば絶対に叶う」というガキみたいな発想のまま、誰からも殴られることなく大人になり、そして世界最強になってしまったのだ