2020-07-13

家族

正直他人家族なんてどうでもいいから、不幸な身の上話をされても、ああ自分の親が同じようになったら嫌だなあ、とすぐ自分と置き換える。そこに相手を気遣うような、思いやるような気持ちは浮かんでこない。

自分家族が何よりも大切なのに、なんだがどうしようも無くなってしまった。

父親は、自分絶対で正しいと思っている人で、自己中心的だった。朝食を食べるか食べないかは気分で、食べたく無い時は用意されていようが平気で食べない。はたまた朝に喫茶店通いが続くと思いきや、突然自分の分の朝食が用意されていないと拗ねることもある。朝食を食べるか食べないかは口に出さない。つまり、察して欲しいらしい。そういった自分自身の言動おかしいと思わないらしく、母や私からの指摘も聞く耳持たず、結局最後にはへそを曲げるだけだった。

休日の朝から、私と姉と母のいるリビングアニメを何時間一人だけで見ていようが、昼になり母の作った昼食を体に悪いからと食べずカップラーメンを作りはじめようが、夕食前のリビングの机にパソコンを広げ何時間麻雀していようが、本人はこれと言って何もおかしいと思っていない。指摘しても、無駄だった。

母と父は仲が悪い。母は父に聞こえるように舌打ちをしたり、悪態を吐く。それでも、父の言ったことには従った。家の掃除家事洗濯も全てほぼ母が行なっている。父が入院した時も、毎日通うように病院に足を運んだ。いつ何時呼び出されても、すぐに父の元へ向かった。母はいつでも、自分より私たちや父のことを優先する人だった。

だが、憎みきれないのが自分父親だった。一人暮らしをする私の帰りをいつも楽しみにしていてくれたり、私と二人で食事に行くと、それはそれは喜んでくれた。父の嬉しそうな楽しそうな様子を見ると、私も嬉しかった。その度あれほど鬱陶しい、母を気疲れさせる父が恨めしいと思うのに、そう思ったことを悔やむ。父ももう歳だから、きっとこの先性格が直ることもない、私が我慢すればいいんだ。母も可愛そうだけれど、その分私にできることがあれば率先してやろう。いつもそう考える。その通りに行動する。その繰り返しだった。

でも、さすがに耐えがたいことがあった。家族家族と扱っていないような、自分ためだけに、私たちに向かって声を荒げた。聞いたこともないようなもう二度と聞きたくもないような声だった。暴力だとか、なにか法に触れることだとか、そんな大きなことではない。しかし、あの時だけは自分父親を切り離して、なんの関係もない全くの他人になりたかった。

父は私に謝罪感謝を伝えてきた。私はそれに、うん、とだけ答えた。こみ上げる言葉を塞き止めるのに必死で、それしか言えなかった。

それから、父を放り出したいなあと思った。掃除をするのに疲れて、部屋に散らばるものを全部まとめて捨ててしまった時のように。

私が我慢すればいいだけの我慢は、いつまで続くのだろう。我慢しなくたって、父と笑い合える、家族みんなで心から団欒を過ごせる日は来るのだろうか。

それとも、私が父を放り出してしまうのが先だろうか。

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