受験勉強が出来るのはもちろん、読書の幅も広かったり、本筋からズレていく学生にありがちな議論を冷静に指摘したり、飲み会の席ではうまくボケ役になって盛り上げたり。
ただ、こちらは高校までと違って自由な大学生活をそれなりにエンジョイすることしか考えてなかったのに、そんな生活に違和感を持っているようだった。
2年生の頃、大学を休学して留学するつもりだと聞いた。偉いな、頑張れよと送り出したと思う。
しばらくして帰国した際、外国人の恋人を連れていた。こちらは相変わらずの大学生活で恋愛も出来ず悶々としていたのに、海外生活を経験した姿は輝いて見え、少し妬ましい気もした。
こちらが卒業を前にした頃、学年が下になった友は難しい資格試験のダブルスクールをしていると言っていた。
そんなに留学もして資格も取って、将来何をしたいのか尋ねると、少し照れたように、
「笑われそうだけど、社会貢献がしたい」
と答えた。
別に笑いはせず、さすが大きな問題意識があるんだな、と思い話題になっていた国際NGOなんかの話をした。
しばらくして消息を聞いた。死んだと言う。
ただ、何となく思う。
自分の優秀さを受け止められなかったのでは、と。
試験にも合格し、仕事をこなし、周囲とも上手く付き合い、更に人生のステージを上がっていったことだろう。
しかし、上がるばかりのステージを予期した心は既に疲れていた。
「社会貢献がしたい」
と言って照れていたのも、「社会貢献が夢」としか言えない自分に苦笑していたのではないか。
自分と同じように、シワと白髪が増えた顔。10年20年会っていなくても、昔の友人の今の姿はなんとなく想像できる。
でも、優秀だった友人の「今の姿」は上手く目に浮かばない。
一度だけ恋人に会った時、友が手洗いに行った際に、付き合っているとどんな人間か聞いてみると、子供っぽいところがあると答えた。同感だね、と笑ったことを覚えている。
いつまでも友人は歳をとらない。
夢を壊すようで悪いけど、 自分のいた大学には結構いたよ、こういう奴 親が金持ってるから留学とかダブルスクールとかほいほいやるんだけど、先が見つからないんだよな 金持ちの子...
3点