1件の受信があることに気づいたのは今朝。
日付を見ると4日前に送られたメッセージだった。
件名は無題。本文には、主人公の境遇が自分と一致しており、運命に出逢ったと思った、という感想が綴られていた。
だって3年半前に書いた話だ。
昔書いた文章を読み返すのは恥ずかしいやら怖いやらで、どんなストーリーだったか今さら確認するのも嫌である。
その頃は学生だったし、一人暮らしだった。時間は限りなくあった。
卒業して、就職して、結婚もしている今の自分からすれば、全くの他人が書いた話に思える。
珍しく届いたメッセージを見ても「まだ読まれていたのか」と苦笑したくらいだ。
送ってくれた人はきっと、読んで偶然の一致に興奮して勢いで送信してくれたのだろう。
もし公開した当時の自分だったら、天にも上る気持ちで数日は幸せに過ごしたと思う。
でももう3年半も経っている。
感動した、この話を書いてくれてありがとう、という言葉を素直に受け取るには、時間が経ち過ぎている。
過去の作品に感想がついても、今の自分が肯定されるわけじゃない。逆に苦しい。
もうあの頃の自分と今の自分は違う。住んでいる場所も考え方も性格も少しずつ変化してしまった。
同じような話はもう書けない。
そもそも、小説すら書いていない。書けない。どう書けば良いか忘れてしまった。
でも文章を書く習慣だけでも、始めてみようかなとこの匿名ダイアリーに登録した。さっき。
また何か書いてみようかなという気持ちになった。
とりあえずキーボードを叩くリハビリから。この匿名ダイアリーで。
2018-08-11