2017-12-09

特別宇宙居住区ストロングゼロ

西暦2300年。

地球人の近宇宙開発進歩めざましく、不可能とされていた宇宙エレべーターはいまやコロニーとの行き来に当たり前のように使われていた。

それに反して地球上は荒廃していた。

行き過ぎた近代化に歯止めが効かなくなり、特に畜産業はもはや地球上で生産ゼロ絶望的な結果にまで追い込まれることになった。

逆に好環境コロニーでの農畜産業が盛んで、日々生産された農畜産物宇宙エレベーターを下って地球にやって来るというなんとも皮肉な状況だった。

宇宙のものを誰も疑いもなく消費する、そんな毎日だった。

しか人類の欲は留まることを知らず、現在ネオフードとしてデンプンや糖などを発酵して作られた宇宙食品が絶大な人気を誇っていた。

困ったことにその発酵過程で大量に生成される副産物としてのアルコールが厄介なことになっており、わざわざコストを掛け地球に送り分解プラントアルコールを処理していた。

現在は、とうの昔に枯渇した化石燃料代替エネルギーとして、地球上はソーラーグリッドシステムが整備されていている。

地球上のエネルギー問題はとりあえずはこれで解決はしている、がアルコールなどを燃やす内燃機関技術ロストテクノロジーとされていた。

誰も利用しないアルコール、それは決して飲用もされることもなかった。

アルコール飲用文化も同時にロストされた食文化の一つだった。

新たにそれらを分解して無害なものにするプラントコロニー内に建設する余裕はもはやなかった。

経営者が頭を抱える悩みだった。

ここである者が人間に飲ませて体内で分解させる案があがった。それはあっけなく採択された。

やがてプラントには、人が多く集まり噂が噂を呼び、コロニーは賑わうようになった。

人体を使ったアルコールの分解過程も順調に成功し、徐々にネオフードの生産量も最盛期の量まで回復することが出来た。

そしてこのコロニーアルコールが飲用出来る特別居住特区となった。

それがこのコロニーストロングゼロ」の由来である

コロニーは人々に「新世界」と呼ばれ親しまれている。

今日も一滴も飲めもしない愛想のないアンドロイド給仕ホールを駆け回っていた。

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