僕には、異世界の人間と意思疎通が出来る特殊能力がある。別世界のお姫様と、意思疎通と、一部感覚共有が出来る。
僕はある時期から、食べ物を食べる時は拝んで「いただきます」という儀式をするようになった。そうすると、彼女の元に、同じ料理がコピーされるようだ。
ある日、僕はから揚げばかり食べていた。
姫「このから揚げというものは、随分と店によって個性があるみたいじゃのぅ。」
僕「うん。もともと戦後、安い鶏肉を多く扱うよう国から支援が出たんだけど、油の乗ってるもも肉ばかり売れて胸肉が売れなかった、その苦肉の策として生まれたのが”肉屋で出すから揚げ”になったんだ。
から揚げは、そういう事情で戦後から日本全国の肉屋で扱われるようになったから、それぞれの肉屋で独自の進化を遂げてきたんだ。
(1)マリネする マリネは市販のマリネ液、その肉屋の秘伝のマリネ液、いろいろ。
(2)卵でマリネする マリネの進化系 表面に残った卵にから揚げ粉を付けるから衣がちょい固くなるんだ、でもって肉は少しトロリとする
(3)もも肉を使う 胸肉はパサパサならももを使えばいいっていう短絡思考、もとい逆転の発想。
姫「お主は、料理を語らせると長いのー。」
姫「お主の話を、ワシのお付きのシェフにしてみたら、シェフがお主に案がある、と言っておる」
僕「へ、へぇ」
シ「肉に留まりつつ、加熱したら保水効果のあるものでマリネすればいいのではないでしょうか。
私は、貴方の世界の食材で、そのような効果を持つ材料を知っています。
片栗粉です。
片栗粉を水で溶いて、その中に鶏肉を漬け込むのです。こちらの世界には鶏肉も片栗粉も無いので、実際には私には何も出来ず、貴方が試す事になりますが、どうぞお試し下さい」
僕「ふぅん」
スーパーで買ってきた鶏の胸肉。ボウルに鶏肉がひたひたになるぐらい水を入れて、片栗粉を入れる。
少し放置。
片栗粉が沈むので、何度もかき回す。
暫くしてから、焼いてみた。
すごい、胸肉が膨らむ。
食べてみる。
おっ、水分がちゃんと肉に残ってる。そして鶏皮から何故かゼラチン臭さが抜けている。
ちなみに、いろんなお店のシェフ、あるいは料理好きな友人等に、上記のような調理法があるかどうか聞いてみたけれど、誰も「そのような調理法は知らない」という。まさに、異世界の技術の調理法だ。
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なんて感じの「異世界のシェフ」って漫画を描こうとしたんだけど、なにぶん画力が酷いので諦めている。
省略したけどから揚げの説明はこの10倍ぐらいあるのだけど、まぁ、漫画なら読み飛ばしてくれそうだけど文章だと無理っぽいのでこの程度にしておいた。
時々ここで書いて発散するに留めようかな。
ちゃんと2コマ置きに主人公のドヤ顔入れるんだよ。