家を出る直前まで、トイレに篭っていた。
なんとか腹痛の波が収まったスキを見てトイレットペーパーを巻き取ると、その行為をあざ笑うかのように、また便意が襲ってくる。
「ッチ……フェイントかよ」
そのような攻防を繰り返し続け――何度目だっただろうか、ついに便意が諦めてくれた。
私は今がチャンスとばかりに素早く便を拭き取り、流水によってことの始末をした。
トイレから出て時間を確認すると、普段ならもう家を出て会社に向かっている時間だった。
まあ、フレックスなので遅刻になったりはしないのだが、たかが便意ごときに自分の予定を狂わされるのは少し納得がいかない。
だからといって便意に一泡吹かせてやったりなんてできないので、私はさっさと準備を済ませて会社に向かうことにした。
会社に着くまでの間、便意が蘇ってくることはなかった。
今日の便意との戦いはもう終わったのだと、私はこのとき、安心してしまったのだ。
戦いはまだ、終わっていなかったのにも関わらず。
会社についた私は、いつものように自分のデスクに着き、PCを立ち上げる。
数時間が立った頃、お腹が空き始めたので、昼食をすまそうと席を立った。
――その時だった。
あいつが、出たのだ。
なんの前触れも、予備動作もなく、すんなりと――さもそれが当然であるかのように、あいつは出てきて、パンツを汚した。
焦った。
最も近いトイレの個室は空いてなかった。
個室に入る。
ズボンを下ろす。
――何か、いた。
見たことのない、何かが。
さすがに緻密な描写は避けるが、全然不潔そうじゃないモノだった。
匂いを嗅ぐ。
なんと臭くない。
よくわからない。
逆に怖い。
まあいい。
そしてパンツを広げてまじまじと見つめる。
――これはなんなのだろう。
なにかは分からないが、このパンツをもう履くことは無いだろうと私は悟った。
そのパンツトイレットペーパー巻きをそっと端の方に置き、ウォシュレットを止める。
この間、腰を八の字に動かしながら、広範囲の洗浄を行っていた。
またもトイレットペーパーを大量に巻取り、広範囲に渡って濡れた自らのけつを拭く。
立ち上がってトイレットペーパーを流してから、ノーパンのままズボンを上げた。
――あぁ、何年ぶりだろう。この感覚。なんか、どきどきする。
耳を済まし個室の外にヒトがいないことを確認して、ゆっくりと外に出た。
そして素早くパンツトイレットペーパー巻きを洗面所の横にあるゴミ箱に捨てた。
もうこれで安心だ。
ノーパンであることがバレない限り、この数分間の出来事はすべてなかったことになるだろう。
私は勝ったのだ。
――何か、いた。 見たことのない、何かが。 想像していたものとだいぶ違う何かが、そこにはいた。 さすがに緻密な描写は避けるが、全然不潔そうじゃないモノだった。 たぶん腸...
今後は 下半身の 話題を はてな日記に 書き始める時には 男性に 起こった 出来事なのか 女性に 起こった 出来事なのか 性別を 明確に 記載するように してくだ...