「大丈夫ですか。野菜泥棒はかなりの俊敏さを持ち合わせております」
改めて説明しなければならない。
「ジャストコーズ、オン」
ヴェノラには独特のパワーが備わっており、彼は正当な理由があるとき目的を最大限遂行するための力を一時的にその身に宿すことができるのだ。
まるでテレポートするかの如く、ヴェノラは野菜泥棒に接近する。
あまりにも予想外な出来事に不意を突かれた野菜泥棒は赤子同然。
拘束することは、ヴェノラの実力ならば造作もないことであった。
「まいった、助けてくれ。どうしても野菜をもっと食べたかったんだ」
「こんなにたくさん、お前一人でか?」
「余った野菜は売るつもりだった。なあ、許してくれよん」
「ダメだ。法の裁きを受けよ」
「ヴェノラさん。私からもお願いします。許してやってください」
間に入ってきたのはこの村の長であった。
「確かにルールを守り、正しく生きようとすることは大切です。ですが、正しさだけでは人は生きていけないこともある。時には許容と順応を促すことも、社会において大切なことなのです」
「理解しました。村には村のルールがあるならば、それを優先し、尊重しましょう。ですが、何らかの処罰は与えることを推奨します」
「すまない、村長。これからはそこらへんにある廃棄物を拾って、それを売って生計を立てるよ」
「捨てられたものだからといって、お前の自由にしていいわけではないんじゃぞタワケ」
翌日。
「おはようございます。ヴェノラ」
「すごいぜ、ヴェノラ。これでこの町にも野菜が潤沢に供給されたな」
「さすがです、ヴェノラ……しかし」
「分かってるよ、ウロナ。『ここの野菜は葉物ばかりです。いくら野菜とはいえ、これではバランスがよいとはいえません』。だろ?」
「さすがです、ヴェノラ。あと……」
「『できれば果物も欲しいところです』。だろ? 朝食は果物中心でいこう」
「さすがです、ヴェノラ」
ヴェノラは大地の恵みと農家の人々に深く感謝し、作物を噛み締めることを改めて心身に刻み込むのであった。
不届き者を成敗したことでヴェノラの溜飲は下がる。 「いやあ、溜飲が下がった、下がった」 だが、体温まで下がってはいけない。 ヴェノラたちは、いそいそと風呂から上がった。 ...
トアル村の宿には公衆浴場があり、男湯、女湯、混浴、その他にも色々な専用浴場がある大規模なものであった。 ヴェノラ一行は様々な側面から考え、それらを秤にかけた結果、男女別...
前回のあらすじ 四天王の一人、剣姫スミロドン。 四天王の中では最弱らしく、既に他の四天王をこらしめていたヴェノラ一行は余裕だった。 しかしスミロドンは、ヴェノラの「とに...
オープニングテーマ曲:「アドベンチャー・ポージング」 歌:ポリティカル・フィクションズ 作詞:マーク・ジョン・スティーブ 作曲:サトウスズキ 広大な青空に 鳥が飛んで...
≪ 前 エンディングテーマ曲:「リミテッド・フィナーレ」 歌:ポリティカル・フィクションズ 作詞:マーク・ジョン・スティーブ 作曲:サトウスズキ 一枚絵 一枚絵 一枚Yeah...