2017-03-31

死にたくもなし生きたくもなし

20歳ごろまで、夜に眠りにつく直前に恐怖で飛び起きることがあった。夢うつつにふと「死」の恐怖が浮かび上がるのだ。怖くていてもたってもいられなくて「やだやだやだやだ」「こわい」と声を上げることもあった。大概その直後には眠りについて、翌朝家族に「何か寝言言っていたよ」と言われるのだけど私には夢うつつから恐怖に飛び起きる記憶があった。

また、交通事故も怖かった。ネット上の議論だったかそれこそはてブだったか、覚えていないのだけど、特殊技術に対する安全性についてのコメントで「そんなこと言ったら、交通事故が怖いなら道路を歩くなという事になるじゃないか」という主旨のものを読んで、本当にその通りだ道路なんて歩きたくないと思った。交差する横道の全てからものすごい速さで自動車が飛び出してくるような気がして注意を決して怠らなかった。

一方でその頃、生きることもつらくて仕方がなかった。愚痴にもならないような小さな人間トラブルや、ありふれた苦労が辛くて仕方がなかった。進学や進路も、正直アテがあったのだけれどそれでも「私は本当にそれで幸せなのか?」と考えたとき選択肢として自殺はあった。

自殺を選ばなかったのは、ただただ死ぬのがなんだか怖いからだった。生き物としての本能から仕方がないと思った。

それから年月はだいぶ経って、最近の私は死ぬことがかつてほど怖くない。そりゃあ怖くないわけじゃないけれど、寝る前に叫んだり、夕飯を食べながらもしかしたら今日一緒に帰宅した友達が今夜突然死する可能性もゼロじゃないと想像したり、そういうことはなくなった。

大人になったのか、と漠然と思っていたのだけど、思い返せばただ生きる辛さが紛れてきた時期と一致しているような気もする。今の私は、あの頃「まぁきっとあの辺に落ち着くんだろうな」と思っていた所に就職して、相変わらずドラマにもならない苦労があるけれど、対処法も身につけてきて、まあ色々あって(ひとつ思春期が終わったホルモンバランスの落ち着きなんかもあるだろう)、そんなに前ほど辛くない。

あの恐怖は逃れ方がわからなかったが、生の辛さへのカウンターだったのか。

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